カテゴリ:ぼくの疑問符
「台風30号のフィリピン被災者に、東日本大震災義捐金をそっくり回してはどうか」 という一文を書こうと思って調べ始めた。
大津波被災への義捐金集めのニュースはたくさんあった。 その義捐金をいかにして被災者に “平等に” 配るか (=不平等だというイチャモンを回避することが第一) ということに官僚的な人々が腐心しているらしいという批判も耳にし、そのとおりだと思っていた。 「義捐金をもらって助かった! ありがとう!」 という被災者の話、みなさん聞いたことありますか? そういうニュース報道、見たことありますか? 義捐金集めのほうはさんざん報道されたが、使われるほうが報道されないから、おそらくウン千億円のカネはいまだに日本赤十字社の口座に眠り、被災者たちに完全に平等に配分できる時期 (=つまり緊急の援助が不必要な時期) が来るのをひたすら待っているのかな。 日本は豊かすぎるから! それなら大津波を超える文明消滅の被災に苦しむフィリピンにそっくり回してはどうか。 1万円のカネに100万円の価値を感じてくれるであろう被災の現地に、官僚的な平等主義にこだわることなく援助をばらまき、中期的には 次に同じ規模の台風が来ても堪えられるような社会環境を整えることにも使えばいい、と。 東日本大震災の義捐金が使われることなく、どのくらい残っているのだろうかと調べ始めた。 * 分かったこと。 まじめな日本人は、都・道・県に義捐金配分委員会を作り、そこから被災市町村へ配分し、被災市町村が被災者に配分していた。 日本赤十字社の 「東日本大震災義援金の受付および送金状況のご報告」 というサイトがある。 それによれば、日本赤十字社と中央共同募金会から県レベルの配分委員会に送金された義捐金が 3,678億円 (平成25年6月12日現在)。 このうち被災市町村に配分されたのが 3,539億円 (平成25年2月28日現在、つまり時期差あり)。 被災者に配分された累計額が 3,398億円 (同)。 調べてみるものである。わたしは日本赤十字社への不信感、さらには そもそも 義捐金募金への不信感でいっぱいだったのだが、認識を改めた。 * 被災者レベルではどういう配分になっているか。 厚生労働省の「義捐金とその配布状況」 (平成23年8月5日現在) という報告がある。 それによれば、第一次配分の874億円は ・ 死亡・行方不明者 1人あたり35万円 ・ 住宅全壊 1戸あたり35万円 ・ 住宅半壊 1戸あたり18万円 ・ 原発避難関係世帯 1世帯あたり35万円 との方針で配分された。 この額を見て、義捐金を受け取ったひとの 「よろこびの声」 がニュースにならないのも納得できた。 被災直後に配られれば大感謝のニュース映像にできた金額だが、あるていど生活が落ち着いてからこの金額をもらう被災者からニュースのネタになる映像や声は引き出せない。 だから、義捐金配分のことが報道されないわけだ。 しかし1戸分の35万円をお前が集めてみろと言われたら、集められない。 この金額を全被災者に配るということ、そしてそれだけの義捐金が集まったということは、これはやはりすごいことだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 20, 2013 07:37:38 AM
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