テーマ:韓国!(17159)
カテゴリ:韓 国
その時代の人たちが何を恐れ、何をよろこび、何に悲しんだかが分る物語こそが歴史だと、ぼくはずっと考えている。
政治史でも戦争史でもない本書は、その意味で「歴史」の本として合格だ。 陳柔縉(ちん・じゅうしん)著、天野健太郎 訳 『日本統治時代の台湾 写真とエピソードで綴る1895~1945』 (PHP研究所、平成26年刊) 日本統治時代が終わって48万人の在台日本人はほぼ全員が昭和22年春までに内地に引き揚げた。48万人の日本人がどれほど多くの台湾人と苦楽を共にし、どれほどのものを台湾に置いていったろう。 さて、本書で興味深かったのは、戦後の連合国占領下の日本で、台湾人と朝鮮人・韓国人は地位が異なっていたという点。 ≪魅惑の“PX”は、米軍が福利厚生のためにオープンしたショッピングセンターであった。アメリカ人は入ってもよいが、日本人は入り口で止められた。一方、アメリカ人でも日本人でもない台湾人はすこぶる歓迎された。 天皇が無条件降伏を宣言した途端、四川劇の「変面」さながら、台湾人は日本国民から中華民国の国民へと早変わりしていた。おまけに、中華民国が連合国だったおかげで、終戦直後の日本にいた台湾人は、戦勝国民という新たな肩書を手に入れ、その威勢のよさは、まさに虎の威を借る狐であった。≫ (268~270頁) ≪東京にいた台湾人の「半分以上」が、今がチャンスとばかりに闇市で商売を始めた。 占領期、日本人ひとりに配給される砂糖は、ひと月でたった300グラムであった。一方、台湾人にはその制限がなく、闇市で稼ぐ大きなチャンスであった。 当時の日本は占領軍によって、アメリカ人、日本人と、それ以外の「第三国人」に区分されていた。台湾人は戦勝国側の国民であったため、第三国人に割り振られた。在日の韓国人は連合国には含まれなかったため、待遇は日本人と同じ。つまりこの商売は台湾人の独擅場(どくせんじょう)であったのだ。≫ (270~271頁) ≪台湾人には“戦勝国”という免罪符があったため警察も手出しできず、いよいよ恐いものなしであった。歴史の歪んだ隙間に突如現れた灰色の沃土で、少なくない台湾人が富を得た。新宿で土地を買ったものも多く、今のグローブ座や靖国通りの東京大飯店も台湾人が所有する土地で、その起源はこの時期までさかのぼる。≫ (272頁) 上掲の「台湾人は戦勝国側の国民であったため、第三国人に割り振られた。在日の韓国人は連合国には含まれなかったため、待遇は日本人と同じ」という箇所には驚いた。 いろんなところで読んだ記述では、占領下の日本では在日朝鮮人・韓国人が「俺さまは戦勝国民だ」とやおら威張りだし、闇市を牛耳り、果ては徒党を組んで種々の暴力沙汰を起こし、日本の警察では抑えきれず米軍の出動が必要となるケースもあった――というもの。 こういう占領下日本での在日朝鮮人・韓国人の狼藉(ろうぜき)ぶりは、長らく日本史記述のタブーとなってきた。 ところが、である。本書によれば、在日朝鮮人・韓国人にはそもそも戦勝国民の特権がなかったというではないか。 それで合点がいった。 在日朝鮮人・韓国人からすれば、在日台湾人は特権を享受していながら、なぜ俺たちは特権を享受できないのか、というなまなましい疑問が浮上する。 法的に認められぬと言われれば、力に訴えて勝ち取ってやろう。 力に訴えてみたら、特権が勝ち取れた。警察も手出しして来ないぞ! そら、もっとやれ! とばかり、卑屈から強気へと、強気から横柄傲慢へと、振子は一気に振れたということなのだろう。 こういう説明を日本史の教科書にちゃんと書けば、在日朝鮮人・韓国人の過去の歴史の不可解さも少しは解けてくる。ところが世間は、何でもタブーにして蓋をしようとするから、よくない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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