カテゴリ:美術館・画廊メモ
上野の森美術館で11月20日から来年1月17日まで開催の徳川期風俗画オリジナル展。東京に来るのを待ちに待っていた。
「肉筆浮世絵 美の競艶 浮世絵師が描いた江戸美人100選」。 「肉筆油画」とか「肉筆日本画」「肉筆佛画」「肉筆絵巻」といった言い方はない。たんに「浮世絵」というと浮世絵版画を指してしまうから徳川期風俗画の掛軸や絵巻・画帖に限って「肉筆」の2文字がつくのは、わかりやすさのため。いまのところ仕方ないか。 しかしいずれこのジャンルは認知度を上げ、「江戸風俗画展」という言い方に収斂すべきところだ。 それはさておき、12月初めに上野の森美術館に入場したら、非常識な学藝員がいて1階フロア全体がとんでもないことになっていた。さっそく館長殿に以下のような書信を送ったのだが、さて、善処されるかどうか。 ≪上野の森美術館 館長殿 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、開催中の「肉筆浮世絵展」に関連し、館長のお立場から現状把握・改善いただきたい点があり、以下ご指摘申し上げると共に、早急な善処をお願い申し上げます。 昨日午後3時すぎに入場したところ、さっそく低い天井の通路に人だかりがあり、何かと思えば学藝員氏がマイクを片手に大音響で得意げに解説を行っていました。 素通りして展示エリアに入りましたが、声は展示エリア内にまで響き渡り、気が散って江戸絵画の名品の数々に集中できません。少しでも学藝員氏の声から離れようと順路に従って足早に進みましたが、学藝員氏の声は1階フロア全体に響き渡っており、作品と静かに向き合える環境ではありませんでした。 上野の森美術館には30年来通っており、内外の名品からVOCA展の現代美術まで数々堪能させていただき感謝しております。それだけに今回の学藝員氏のひとりよがりと配慮の無さに驚きを禁じ得ません。 さすがに このまま放置はできず、展示エリア入口に戻り、傍観する係員に 「1階じゅうに響いていて迷惑です。音量を下げてください」 と伝えましたが何ら改善されず、仕方がないので2階の展示を先に見ることにしました。驚いたことに学藝員氏の声は2階展示フロア入口付近まで聞こえます。 不愉快に思いつつも2階フロアを見て回りましたが、2階フロア出口付近に来ると依然として学藝員氏の長辯舌が聞こえます。暗澹たる思いでした。学藝員氏のひとり舞台の終了後、ようやく1階フロアの作品鑑賞に入れました。 学藝員氏は目の前の人々が自分の解説をよろこんでくれるものと信じて、自らの手柄に陶酔しつつマイクを手にしていたのでしょう。しかし、1階入場口で耳を傾けた二十数名を除き、展示エリアの鑑賞者には迷惑至極なものでした。 ギャラリートークは、他の鑑賞者にも配慮しつつ、音が響かない大きめのホールで主に肉声で短時間に限り行うべきものです。展示エリアに隣接し、天井が低く音声が増幅しがちな場所に大音響スピーカーを持ち込み長時間にわたり “講演” する学藝員の非常識、そしてそれを放置する上野の森美術館の管理体制の失態は嘆かわしい限りです。どうか改めてください。 美術館での解説は、パネル表記とイヤホン音声ガイドが基本です。上野の森美術館の今回の展示レイアウトではギャラリートーク実施は無理があります。美術館としての常識に立ち返り、真に鑑賞者のためを考えた運営をお願い申し上げます。 敬具≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Dec 4, 2015 08:00:41 AM
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