テーマ:政治について(20219)
カテゴリ:日本の政治
北方領土は、白か黒かの議論でまとめようとすると、妥結は不可能だろう。ロシアが択捉(えとろふ)島までまるごと日本へ引き渡す気配は まったくないし、日本が これを軍事力で強要するという選択肢もありえない。
わたしの長年の主張を、具体的に書いてみた。 (1) 歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島に対する日本の主権は譲らない。 (2) これらの地域は、旧地権者に対して日本政府が最低限の補償金(昭和22~25年の「農地改革」時の低額の補償金に物価変動率を掛けたもの)を支払い、すべてを日本国の国有地・政府直轄地とする。 (3) これらの地域を ロシアの租借地とすることを 1945年に遡って認める。(これによってロシアによる不法占拠は遡って合法と位置付けられ、日本に対する侵略国家は竹島を不法占拠する韓国のみとなる。) (4) 租借地とする期間は 歯舞群島・色丹島は 2018年まで、国後島は 2020年まで、択捉島は 暫定的に2045年まで(昭和20年から数えて100年目)とする。 (5) 択捉島の租借期間に関する最終交渉は2043年までは行わず、2044年から開始することとする。 ロシアとの交渉対象を「租借期間」という延長伸縮自在のモノサシにすれば、「白か黒か」とは別のいろいろな選択肢が出てくる。 ロシアが択捉島を引き渡す気がまったく無いとすれば、租借期間をたとえば西暦2100年までとする手もある。 それでもダメなら「西暦2200年までロシアが租借」とすれば、ロシア人はゲラゲラ笑いながら署名するだろう。 ■ なぜ霞が関官僚らはホンキでないのか ■ 日本政府もロシア政府も、千島列島に地下資源がありそうか、さんざん調査はしたはずだが、今日に至るまで何も出てこない。石炭もガスも石油もその他の鉱物資源も無いようだ。 北方領土問題をわざと日露間に残したのは、当然ながら米国の巧妙な策略だ。ロシアが冷戦に敗れたあとも、米国は北方領土問題に手をつけさせなかった。 米国を刺激しすぎると、北方領土問題で米国が日本側についてしまう。そうなると不利だから、ロシアもこれまで慎重で、国後島にミサイル基地を作ったりはしなかった。 米国という重しがあったがゆえに、北方領土返還交渉は今日に至るまで防衛上の課題とはされてこなかった。 漁業権は、領土問題と切り離して日露間で交渉を行うことも可能だから、これまでそうやって乗り切ってきた。 領土交渉が、産業上も防衛上も直接には大きな意味を持たないとすると、残るは「国家としてのメンツ」と「かつての島民の望郷の念」という情緒的なところに収斂してしまう。 これでは霞が関の官僚たちがホンキで取り組まないわけである。 ■ 色丹島はデカい ■ 北方領土返還運動の原動力が「かつての島民の望郷の念」にありとすれば、旧島民らから土地を買い上げるなど論外、ということになる。 しかし、それでよいのか。 色丹島はひょっとしたら安倍政権のうちに戻ってくるかもしれない。 「色丹島が戻ってきたぞ、バンザーイ」 と叫んだ翌日から、旧島民を地上げ屋が訪れて土地を買い占め、産業ゴミを野積みで廃棄する場所として利用する、なんてことにならないか。 色丹島は納沙布(のさっぷ)岬から70キロ以上も離れている。面積は225平方キロ。東京の山手線の内側の総面積の約3.6倍である。 国後島・択捉島に比べると小さいから、どうでもいい島のように考えている向きもあるかもしれないが、それなりにデカい島なのである。 色丹島と国後島 (NASAによる衛星写真) 意外にデカいこの島の人口は? Wikipedia ロシア語版によれば、2010年に わずか2,820人である。(ほかの言語版には、もっと少ない人口が記載されている。) こんな好条件の場所がまるごと日本の国有地だったとしたら、まさか「観光地として整備しましょう」みたいなことは言わないよね。 砂漠もなく、シベリアのように広大な未開の地もない日本に、色丹島のような場所が国有地・政府直轄地としてあったなら、用途は一点だ。 原発が生み出す高レベル廃棄物の地層処分の場所として使いたい。 ■ あらゆる問題が回避できる ■ 高レベル放射性廃棄物は、どのように保管するのか。 水に溶け出てはいけないし、空中に飛散してもいけないから、ガラスと混ぜて固める。このガラス固化体を金属容器に入れ、粘土で覆って、地下300メートルよりさらに深い安定した地層に保管する。 保管期間は10万年だ。SF小説じみるが、要すれば「人類文明が続く限り」である。 人類が滅んだら、バルタン星人かメフィラス星人にでも面倒をみてもらうということだ。 こんな場所を、北海道から沖縄まで、既存の地方自治体で探すのは至難の業である。 住民への補償金だけで兆円単位になるだろう。 あらゆる反日団体が全国の痴呆老人を総動員してウンコにたかる蠅のように集結し、トンデモない知事や市長・町長が登場して延々と裁判沙汰が続く。 疲れるね。 色丹島を国有地とし、根室市にも北海道にも属さない政府直轄地にして入島をきびしく制限すれば、あらゆる問題が回避できる。 ■ もはや他人事と言えない経産省 ■ 色丹島の地質調査を行って、適地が見つからなければ、残る候補地は国後島である。 国後島の面積は1,490平方キロ。東京都の面積の0.68倍である。沖縄本島の1.24倍の面積だ。 ここに適地がなければ、次は米国にウン兆円払ってネヴァダ州にでも適地を求めるほかあるまい。 北方領土返還交渉に、高レベル廃棄物の地層処分がからむと何がいいか。 これまで他人事(ひとごと)と考えていた経産省をはじめ 国土交通省や総務省など、あらゆる中央官庁が俄然、交渉推進役に回るだろう。 逆に最悪のシナリオは、巨額の経済支援と見返りに色丹島(や国後島)を取り戻したあと、旧地権者らが のさばりはじめて、国策による土地利用に対して巨額の賠償金を要求 するというケースだ。 そういうとんでもない状況を回避するためにも、歯舞群島・色丹島はさっそくにも国有化・政府直轄地化が望ましい。 中国がモンスターとなったいま、外交戦略としてロシアを日米側につけることは当然必要だ。傲慢中国のおかげで、日露間の領土交渉を急進展させるべき状況は十分に整った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Sep 26, 2016 10:00:43 AM
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