加藤 和彦 「スーパーガス」
加藤 和彦「スーパーガス」憧れはジェームステーラーであり、CSN&Yであり、ドノヴァンであり、ツエッペリンであり、ビートルズであり・・・・・・洋楽好きの私はアコースティック ギター片手に憧れていた。同じ時代に同じ音楽を聴いていた大先生は、軽々とその憧れをレコードにされたのでした。それが「スーパーガス」。 サウンド デザインは「アコースティックギターをメインにしたロックサウンド」。ニッティー グリティー ダートバンドのMr.ボージャングルを下敷きにした「家をつくるなら」。ニールヤング風のアコースティック ギターにリック マロッタ風ドラム、ジェリー ガルシャのようなペダル スティールギター、ゴリゴリと揺さぶるベースは ジャック キャサディーかフィル レッシュか・・・まさに60年代シスコ サイケ デリックサウンド満載の「アーサー博士の人力ヒコーキ」。「魔法にかかった朝」のギターはジェームス テイラーのサニー スカイからの引用。ドノヴァンのラレーニャとアイレー島をミキサーにかけた「不思議な日」。前作では12か月に及んだ歌詞を春夏秋冬に凝縮した松山 猛氏の歌詞は後の「四季頌歌」に繋がるもの。フォークル時代からのトロピカル趣味は「魔誕木の木陰」に結実。フェアポートのリチャード トンプソンばりのオープンチューニングギターで聴かせる「児雷也冒険譚」。 物語ソングを 英国トラッド バラッド風に処理するこのセンス。大先生はさながら一級のテイラーの様に欧米の一流生地を 見事にデザインされた一着に仕立てあげたのでした。憧れのマーチンD45をギター ケースに仕舞い込み、次に大先生が我々の前に現われた時、その手にはフェンダー ストラスキャスターが握られていたのでした。1971年発売