年賀状にも「整理された切れ味のいい」一言を,と思うのだが。
齋藤孝さんの『コメント力』(筑摩書房、2004年)を読了した。その中で、こんな「問題」が出題されてある。「泉重千代さんが長寿世界一となったときに、インタビュアーが『好みの女性は?』と質問した。泉さんはこの問いに対して、ジュークで返した。さて何と答えのだろうか?」(70頁)う~ん、しばし真剣に考えてみる。全く思いつかない。そこで次頁の「答え」を見た。「年上の女」なるほど、なるほど、…と後5回ぐらい頭の中で叫んだのだ。「整理された切れ味のいい発言」、それを斎藤孝さんは「コメント」という。そのようなコメントをつい最近聞いたことを思い出した。Wヤングの漫才で、平川さんが相方の佐藤さんの頭を靴でたたく場面がある。パカンッそういった軽く響きのある音が出る今の靴を探し出すには相当苦労した、という話を楽屋で平川さんから直接聞いた。どうやら靴の皮が他とは違うようなのだ。「何の皮なんだろう」と考えていると平川さんが一言。「ヒラカワ、言いまんねん」年賀状を212枚書いた。ほとんどはパソコンで印刷したのだが、必ず手書きで一言を添えるようにしている。できるだけ「整理された切れ味のいい」一言を書こうとはりきったのだ。しかし最後の212枚目の平川さんへの一言、これがなかなか思いつかない。「ヒラカワ、言いまんねん」を上回る一言をと考えに考えたのだが無理だった。で、結局書いた一言は実に平凡な言葉となってしまった。「『変なの』【注】、我が家と5年1組で、はやっています」プロには叶わないのである。【注】平川さんの最新のギャグ。往年のギャグとして「ちょっと聞いたあ~」「えらいスンマヘン」「あほかいな」などがある。「