セメダインの味
断酒が9日間も続いた。17年前に胸椎の手術で入院して以来の我が人生における快挙である。10日目も続けるつもりであった。しかし発泡酒と焼酎の水割りをそれぞれ一杯ずつ飲んだ。「ビール、飲も」めずらしく連れ合いがそう言った。そんな言葉を彼女から聞くのはもう数年ぶりだ。そう言われなくても私は毎日ほぼ飲んでたからね。「よし、飲もう」そうして9日間の断酒が一旦おわった。一昨日の話である。そのまままた毎日飲酒の日々が続く、ことはなかった。次の日つまり昨日は飲まなかった。でも今日は飲んだ。学校で子どもたちのいいところが目立ち気分も最高だったのだ。食後、安い焼酎を飲んでみた。指一本分の焼酎と同量の水を割って飲む。一口目、変な味がした。おいしくない。二口目。やはり、まずい。後味が何かに似ている。それを確かめるために三口目。わかった。セメダインだ。断っておくが、私はセメダインを飲んだ経験はない。ただこの焼酎を口に含んだ時に広がる味がセメダインのあのいやな臭いがあたかも口内で拡散充満しているのに似ているぞ、という事象を表現したまでだ。申し訳ないが、この三口目は飲まずに吐いてしまった。またもや断っておくが、この焼酎は市販の安物である。当然われらが三井さんオススメの焼酎ではない。口直しに余市を飲もう。指一本分をグラスに注ぐ。(いわゆるワンフィンガーというやつです)おや、どうしたことだ。これがあの余市か。しばし愕然。おいしく感じないのだ。理科室にあるアルコールランプのアルコールを飲んだら、おそらくこんな味なんだろうなあ、という薬品的アルコール味なのだ。そんなことはない。と思いまた飲むがやはりアルコール。今までならおいしく感じていた余市なのに…。誉一(私のことです)は落胆するのである。9日間の断酒で味覚が変わってしまったのか。紛い物ではないほんまもんの酒ならどうか。明後日3日(日)、通天閣で三井さんのほんまもんの酒と勝負してみよう。