まずは足元から
教室や廊下にゴミが1つ落ちている。ついこの間までなら決して誰1人として拾わない。しかし今ならどうだろう。3時間目に彫刻刀で版木を削った。授業が終わると子どもたちは机の上にかためておいた木くずをゴミ箱にきちんと捨てていた。中には、床に落ちている木くずを拾う子もいる。それだけではない。箒や塵取りを持ち出し掃除を始める子も数名いる。自分のところだけでなく友達のところも掃除している。月曜日の家庭科の授業で、ゴミ拾いの話をした。ゴミを拾う行為そのものは決して難しい行為ではない。しゃがんでゴミをつまみ拾い上げそれを運搬しゴミ箱に捨てるだけである。屈伸運動も1回だけだから体力的にしんどくなるはずはない。ゴミも軽い物がほとんどだ。実に簡単な行為なのである。簡単な行為ではあるのだがほとんどの子は自分からすすんでゴミを拾おうとはしない。人に言われてはじめてしぶしぶするのが残念ながら今の子どもたちの大部分だろう。いやいや子どもたちだけではない。大人も含めて圧倒的多数の人々が実はそうなのではないだろうか。まあそんな話を私の実体験をふまえて話したのである。そんな拙い私の話だが何人かの子には通じたのだろう。それからごみを拾う子どもたちの姿をちょいちょい見るようになった。最近は新聞などでも環境問題がよく取り上げられるようになっている。いい傾向だ。ところが足元にあるゴミを拾う人はどれくらいいるだろう。「環境問題は、地球規模で考えて、実践は足元から」最近読んだ本の中にそのようなことが書かれてあった。いい言葉だ。