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テーマ:ショートショート。(573)
カテゴリ:オリジナル小説(仮置場)
※以下はオリジナルNL小説(シリーズもの)のショートショートです。
元ネタがありますので気になる方はチェックしてみてください。 「お前、俺のことをどう思ってるんだ?」 言いたくても言えない言葉。 口にしたところできっと、「別に?」とか言われるんじゃないかと思ってしまうから。 素直じゃないヤツが相手だと本当に苦労する。 でも、実際本当に素直じゃないのは俺なんだろう。 そんなことを思いながらパティスの後ろ姿を眺めていたら、不意に振り向いた彼女が口を開いた。 「ブレイズは私のこと――」 そこまで言って、しばし逡巡してから「……何でもない」。取り繕うようにそう結んだ。 オイ、お前、そりゃー、何でもない、って面じゃねぇだろ? そう思っていても、俺はそれを口に出すことが出来ない。 変わりに出たのは「変なヤツ」と言う台詞で。 「悪かったわね!」 そんな俺に、パティスもいつものように舌を出してあっかんべーをしてみせる。 その表情が何だか寂しそうに見えて――。 「なぁ、パティス。俺がお前にどうして欲しいって思ってるか、とか考えたことあるか?」 思わずそんな問いが口をついていた。 「え――?」 急にわけの分からない問いかけをしてきた俺に、パティスがきょとんとした顔をする。 いつものように茶化すかと思いきや、俺が存外真剣な顔をしていたことに気付いたんだろう。ふと視線を逸らすようにして下を向き、瞬の間考えてから、 「私が思ってるのと一緒……だと嬉しいな、とか思うんだけど……」 珍しくはにかむように呟いて、場の雰囲気に耐え切れないかのように踵を返した。 「……お、おい!」 それじゃ、答えになってねぇだろ? そう、続けたかったけれど、俺は寸でのところでその言葉を飲み込んだ。 言えば、全てが終わりになってしまう気がしたから。 俺はパティスの気持ちに応えてやれないのだから。 俺が彼女を愛すれば、彼女を俺と同じにしてしまう危険性を伴う。 俺がしっかりしていれば防げることだけど、その衝動を抑え切れる自信が、今の俺にはないのだ。 それでも俺は切実に願ってしまう。 頼むから……それでも俺を愛してくれ、と――。 【END】 ----------------------------------------------------------- ※(お題配布サイト「コ・コ・コ」様より) お題:望ミ/3の題より「愛してくれ」で書かせていただきました。 ブレイズにはある秘密がありまして、そのせいでパティスと本当の意味で 心を通わせることが出来ません。 それが辛くて悶々としているんですけど…それはまた本編で詳しく書いて いけたらいいなぁって思っています。 ----------------------------------------------------------- ↑topはこちら。 ※「一億年後の空の下」様との合同創作サイトです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.11.21 11:48:29
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