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2011年05月07日
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カテゴリ:BOOK REVIEW


吉村昭氏の黒部第三発電所を描いた「高熱隧道」は、自然の脅威、記録文学の貴重さを伝えた。本書を読んでも、またもや驚かされる。今回の東日本大震災を予見し、津波のすさまじさをリアルに描く。

「津波は自然現象である。ということは、今後も果てしなく反復されることを意味している。海底地震の頻発する場所を沖にひかえ、しかも南米大陸の地震津波の余波を受ける位置にある三陸沿岸は、リアス式海岸という津波を受けるのに最も適した地形をしていて、本質的に津波の最大災害地としての条件を十分すぎるほど備えていると言っていい。津波は、今後も三陸沿岸を襲い、その都度災害をあたえるにちがいない」。津波に対し様々な対策を備えてきたが、「しかし、自然は、人間の想像をはるかに超えた姿を見せる」。

明治29年、昭和8年、昭和35年に三陸において津波が発生し、繰り返されることは想定されていた。地震が頻発する場所であるという認識もあった。危険が想定されているところに、原発を建設し事故となる。

批判をしてもしょうがない、批判をしている場合ではないと認識していても、批判せざるを得ないのである。規模の大きさは想定外という発言は、ありえない。東電社長が謝罪する姿はあってしかるべきだが、原発を推進してきた政治家、専門家は姿を見せない。


2010/04/28に書いた自然の驚異(「高熱隧道」)へジャンプ





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最終更新日  2011年05月07日 22時42分29秒
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