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「今度妹がくるのでよろしく」
昨年の暮れに先輩のIさんから言われた。 「兄弟でトリマーっていいですね。 お兄さんの影響ですか?」 「いや、僕ではなくてKちゃん。うちにKちゃん(プードル)が来てから すっかり犬が好きになって。10年勤めた仕事をやめちゃうんですよ。 仕事まで変えさせるんだから、犬の力ってすごいですね。」 (イヌノチカラ) その日は一日Iさんのこの言葉が響いていた。 犬の力ってあるなあ。 それはなんだろうと、ふいに思う。 わからないけれど、感じる。 犬の力。 言葉の力。 犬は言葉を話さないけれど、言葉と同じようなちからがある。 言葉は犬に負けてしまうのかな。 けれど、私に犬の仕事につく最終的な決心をさせてくれたのは言葉だった。 空を陽にすかしていると 無のもつ色が美しい 時が私に優しく訊ねるが 私は黙っている 昨日の朝を私に返せ 失われてしまった風景のために 私は何もしてやることも出来ない ただ弔うことのほかに 今日 期待は明日に似ている だが明日になると 期待は今日にすぎない しかし私のまわりに晴天の一日がある 子供の時から私は何が好きで生きてきたか? ふと私に近く何かのよみがえる気配がする 谷川俊太郎『六十二のソネット』より 子供の時から私は何が好きで生きてきたか? 犬と本が好きだったなあ。 スロースタートだけれど、それが私の答えなのだろう。 犬の仕事をするようになって、疲れてもちっとも疲れていない。 これは不思議。 犬のチカラと一緒に暮らせるしあわせ。 歌を読み詠める幸せ。 私は欲張りだな。 犬の名を呼べばゆたかな我になるたったひとつの犬の名前を / よもぎ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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