筋肉マンになる為の基本
(1) 過負荷性 トレーニングを行う上で身体にかける負荷(例えば,バーベルの重量や,ランニング・ジョギングのスピード など)は強ければ強いほど,重ければ重いほど,多ければ多いほど,速ければ速いほど良いというものではありません. また逆に,弱すぎても,軽すぎても,少なすぎても,遅すぎても,トレーニングの効果は得ることができません. つまり,現在の身体の水準(身体能力)に見合った,少しだけ身体に負担がかかる負荷を与える必要性があります.従って,現在の身体の水準(身体能力)を知ることがトレーニングの第1歩であるといえることができます. (2) 漸進性 トレーニングは身体に変化を与えるものであることは前回述べました. また,現在の身体の水準(身体能力)に見合った,身体に少しだけ負担がかかる負荷を与える必要性があることも既に述べました. これらのことから,トレーニングを行う過程で身体は変化,すなわち身体水準(身体能力)は向上していくため,身体にかける負荷も少しずつ強く,重く,多く,速くしていく必要性があります. (3) 継続性 トレーニングは身体に可逆的変化を与えるものであることは前回述べました. もう一度ここで復習しますと,トレーニングによって得られた身体の変化(それは筋力の増加であったり,持久力の向上であったり)は,トレーニングを中断してしまうと,トレーニングを開始する前の状態に逆戻りして(可逆)しまいます. 従って,トレーニングは継続して行う必要性があります. また,トレーニングによって身体を変化させるためには非常に多くの時間がかかります.まさに「ローマは一日にしてならず」という言葉の通りです. 従って,トレーニングは地道に継続・反復して行わなければなりません.「継続は力なり」です. (4) 個別性 「十人十色」という言葉の通り,人間には個人差があります. それは持って生まれたものでもあり,また,後から獲得した(された)ものであったりもします. 前者の代表例としては「性別」,後者の代表例としては「競技レベル」などが挙げられます. つまり,トレーニングは年齢,性別,競技別,競技レベル別,など,さまざまな要素を考慮し各個人に見合ったものでなければなりません. 男性と女性では,同じ目的を持ったトレーニングであったとしても,やり方(メニュー)などが違って当然ですし,また,小学生と高校生のトレーニングは当然異なるものです. さらに,筆者自身も年数回マラソンレースに参加しており,レースに向けてのトレーニングを行っていますが,そのトレーニング内容と現在のマラソン男子日本最高記録保持者である藤田選手(富士通)のトレーニング内容は全く異なるものです. 特に,学校における部活動を経験した人は,トレーニングは画一的に行うものであると想像していまいがちですが,まさにトレーニングも「十人十色」なのです. (5) 自覚性 トレーニングは,誰か(監督であったり,コーチ,またフィットネスクラブのトレーナー など)に強制されて行うものではありません. というよりは,「効果は上がりません」といった方が良いかもしれません. すなわち自らが意識的にトレーニングを行う必要性があります. トレーニングは自らが,ある目的を持って行う身体活動であることはこれまでに何回も述べさせて頂きました. それぞれの目的達成のために行うトレーニングの意味を考え,理解,自覚し,意欲的に楽しく行うことが大切です. また,「いやいや」トレーニングを行なっていると効果が上がらないばかりではなく,集中力を欠き怪我などに結びつきやすくなります. (6) 特異性 トレーニングを行うと身体に変化が生じることはこれまでに何回も述べさせて頂きました. しかし,例えばどんなトレーニングを行っても筋力が増加するかといえば,そうではありません. もちろん,これまでにトレーニングを行ったことがない人が,ランニング運動を行えば,特に脚を中心に筋力は若干増加することも事実です.しかし,スクワット運動に比べれば筋力の増加は僅かなものになります. つまり,強化したい(向上させたい)能力に見合ったトレーニングを行う必要性があるということです. もっと簡単にいえば,筋力を増加させたかったら「筋力トレーニング」を,持久力を向上させたかったら「持久トレーニング」を,ということになります. また,上半身の筋力を増加させたい場合は,上半身を中心とする筋力トレーニングを行う必要がありますし,下半身の筋力を増加させたい場合は,下半身を中心とする筋力トレーニングを行う必要があるということです.