こころに映るよしなしごと

そばでも食べに行こうと言われ、どこかと聞くと山里だと言われ、どんな山里かと訊くと、小さいスキー場の周りの山里だと言われ、とんでもないと思いながらも行ってみる。

たった一人で高校野球中継を見ることもなくカウンターに座っている郵便局の女性職員にそばやを確認して行くが、看板もろくにないところなので何度も見損なう。

やっと見つけて、その店のおすすめの辛大根おろしがはいったたれで食べるそばを頼む。

タカトーそばという名のそばは、大根と蕎麦の産地の地名らしいが、よくわからないほど辛い。
160円という安さの天ぷらは山菜やらが盛りだくさんだったが、その中の苦瓜（ゴーヤ）を食べてからおろしたれを食べると不思議と辛さ（苦さ）を感じない。暑さが一気に遠のいた。

もう一度訪ねてみたいが、店を離れて振り返ると、もう、どの田舎屋敷がその蕎麦屋か、わからなくなってしまった。