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エビータの空 ~El cielo del otro lado~

エビータの空 ~El cielo del otro lado~

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2009/04/23
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アモーレス・ペロス スペシャル・コレクターズ・エディション



2000年メキシコ映画。
監督:Alejandro Gonzalez Inarritu
カンヌ、東京国際映画祭でグランプリ受賞。
DJ出身アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のデビュー作。
「バベル」は正直好きではないけど、この映画は数倍いい。

★★★★

タイトルはスペイン語で「犬のような愛」。
メキシコ・シティの現代が舞台で、貧富の差が激しく、
生活感ある街中の中の出来事。

冷酷な愛、偏狭な愛、支えきれない愛、償えない愛・・・

ある交通事故を軸に3つの異なる人間ドラマが描かれているのですが
それぞれのストーリーが交錯するようでしないところが
大都会の日常の非情さというか、人間誰にもありうる出来事という
感じをうまく出しています。


↓以下、ネタばれ、いっぱい。


夫から乱暴に扱われても愛情を捨て切れない女子高生妻。
テストがなんだとか、とかいって子育ては義母まかせ。
で、義母がお酒飲んで子守をしないと激怒する。

この辺りの描写も、テンポよくうっとおしくなく面白い。 

「夫」「女子高生」「テスト」とか「子育て」「義母」などの
単語を言い換えれば、エゴと依存のあふれる現代社会、きっと誰しもが、
レベル感の違いはあれ、胸に思い当たることがあるかもしれない。

そのほかも、生活感あふれるセッティングで、

スーパーのレジ係が本職で、その傍ら銀行強盗を繰り返す夫・兄…。
人気モデルが不倫相手と新生活を始めた矢先、交通事故で不遇の身に…。
元社会活動家の殺し屋が、かつて捨てた家族・娘への償いのすべを探す…。

結論、まったくもってハッピーエンドではなく、全体通して
「人生なんて思い通りになるものではない」という感じなのですが、
不思議とどこかしら、人間のたくましさが感じられます。

貧しくても、ワルでも、素直になれなくても、
人生どんなにツイてなくても、
絶望なはずなのに、絶望を感じさせない、
道徳的には悪であっても、それすら肯定するほどの
生臭い「生」。

人間がつくりあげた概念や世間体に反するものを重ねることで、
逆説的に日常を描く、巧妙でおみごとです。

報われるかどうか、許されるかどうか、償えるかどうか・・・
ということには究極、答えはないもので
ありのままの生々しい日常生活におけるその過程、その思いこそが
現実であり、答えである、というくらい裸の「生」。

生きるのも日常。
死もまた日常の中に在る。
モラルも日常の中。
非モラルも日常のためが故。

ううん、深いなこの映画。
ガエル・ガルシア・ベルナルもかっこいい。

ラストシーン、
街を捨て、犬と共にゆっくりと荒野を進んでいくシーンもいい。







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最終更新日  2009/04/24 02:21:02 AM
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