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カテゴリ:中村美香子(さんさんぷろじぇくと)
中村です。
そう、昨日の杉山さんのブログを読んで、激しくうなづく。 私は、保育関連の財源が一般財源化されていく波のひととき、保育関連の行政の現場にいました。実はコームインなもので。今は全然違う部署にいますが。 行政というのが、都道府県だったから、そのときの現場の雰囲気としては、一般財源化はそれほど「カネがなくなるじゃないか!」という抵抗・危機感といった雰囲気ではなかった。それより、「国がそれ用のオカネやめちゃって次世代育成支援交付金ないしは地方交付税に組み込むんだったら、こっちで上乗せ・横だししてた部分はどう整理しようか」、みたいなハナシが多かった。 政策の内容に関しては、それだけ、国の内容に準拠してたってことだね。 そんときは、独自の路線を考えてるヒマはあんまりなくて、今までは国、都道府県の負担割合が決まってたから出してたものも、国から直接、交付税なり交付金なりいうかたちで市町村に行くといわれちゃうと、出す理由がなくなってやめる、という方向に行ってしまったものが多かったと思うけど、 そのあとこの某都道府県の出すべきオカネも、「これ用」とがちがちに使い道が決まっていた補助金じゃなくて、交付金というかたちに整理された。国の動きというのはインパクトのあるもんで、カネの払いようもおんなじに・・・。 だからひとついえるのは、一般財源化すると、地方は考え始める。ってこと。 じゃあウチは何に、どんなふうに、子育て支援するの?と、都道府県は考え始める。今まで国の制度に乗って、いわれるがまま1/3とか1/4とかの負担分を市町村に払って・・・というやりかただったのが、「あなたの方針は?」と問われることになるのだ。 市町村のほうは、もっとそうだろう。 使い道の決まった財源がこなくなれば、何にいくら必要だからと試算して、予算を獲得しなければならなくなる。当然、優先順位や死守しなきゃいけないものも決めなきゃならなくなる。国のメニューになかったからやりたいけどできなかったこともやりたくなる。 あと、もうひとつ、 事務にかかるコストは、削減される、と思う。こっちは、制度が再編されてからどうなってるかは、部署を離れたから感覚的にわからないのと、計算して検証したわけじゃないから、はっきりいえないのだけど。 負担金とか補助金とか、「それ用」のカネってのは、カネが渡るからには、きっちりした根拠が要るってわけで、その計算の仕方を決めたり、決まった様式でもらう側に計算させたり、渡す側がそれをまた必死でチェックしたり、まちがってたら電話して直せと言ったり、カネを出納機関を通じて渡したりという、こまかーい事務が、渡す側にももらう側にも発生する。まちがってたらえれーこと。 この、「渡す」という仕組みになってるからこその事務処理コストは減らせるはずだ。 実際、補助金の担当やってたときは、「こんなのだーいたいのどんぶりで渡せばいいじゃん!私の人件費がムダ」とか思ってた。「こんなやる気の出ない仕事やだなー」とも。しかし、カネを渡すのにそんなリクツは通用しないのでそんなハナシは一笑に付される。 というモードが変わると、そんなリクツも可能。だって交付金ってのはそのリクツを制度化したものだものね。 渡すのをやめたらまるっと人が要らなくなるのかというと、一般財源化のあと、自分のとこの政策をうんうんうなって考えるためにはそれほど人員を減らせない、かもしんないけど、それはまあ、当たり前に必要だもんね。機会費用を考えたら、絶対「しょーもないことに払ってるコスト」は下がる。私のシゴトを引き継いだ人は、ウチの独自路線について考える、やりがいのあるシゴトの部分が増えてるかもしれない。 ・・・ しっかし、公立保育園の国庫負担金を一般財源化(地方交付税にその分換算して乗せることになった)したことで、保育園の民営化が当然の流れとして発生しており、 私の子どもの行ってる保育園もご多分にもれずで、平成22年度から。 こーれがまた、保護者はタイヘンだ。 ウチは父母会というもんがない保育園だったので、形式的な行事がなくていいなあと思っていたんだけど、ここへきて、民営化対策のための保護者組織を。立ち上げましたよ、このあいだ・・・ 正直言って、この新たな業務はツライ。ヒーヒー でも、「少子化をのりこえたデンマーク」(湯沢雍彦、朝日選書、2001)では、デンマークでは、保育園に「運営委員会」なるものがあり、父母代表7名、職員代表2名で構成されているんだそうだ。「保護者代表はどんな保育園にしたらよいか、どんどん意見を出す。」のだそうで、バザーをして売り上げを保育園の収入とするのだそう。小さい無認可園などでは、カネだの行政だのの後ろ盾がないぶん、オヤが自発的にこんな関わり方をしてるという話をきいたことがあるが、認可保育園でこういうところはまずないだろう。 ううむ、どれぐらいデンマークの運営委員会が機能しているかはわからないが、ニッポンの私たちもがんばらねば・・・。 というか、やはり、常日頃からこういう体勢はとっとくべきなんだろうな。単なる親睦(これもとてもだいじだけどね)だけじゃなく、何かあったらみんなで考えようという場をつくっとくというのは。 そういうことをオヤが日常的にやってれば、子どもの政治意識はそれに応じたものになるよね。学級会だって国会だって究極的には同じことだもの。 私も、子どもたちが食べてる延長保育のときのおやつのことが、ほんとは以前からちょっとココロにひっかかっている。つまり、そのおやつは市販のもので、うちのおやつコードには引っ掛かるのだ(笑)。サラダせんべいとかね。 でも、ひとりで園に言い出すのが億劫なのとか朝も帰りもあせっているのとかで、結局言い出していない。オカネが絡むこともわかってるし。 こういうのはほんとは、保護者会などで、どう思う?と提起してみるべきなのだろう。するとまた、いろんな意見が出て、人が自分の意見に反対なんだという事実に慣れたり、説得したり、意見をまとめていったり、という高度なスキルが持てる。 こういうことにココロの体力がついてないと、いきなりこの民営化対策の保護者会などつくると、ホント、そのへんのことがツラく、メンドく、ウザいということになる。なあ・・・ みんなほんとに、いろいろだからね。シゴトと家庭の運営のほかに、こっちでもやらんといかんのか!みたいな。 でも、でも、子どものために。 カッコいい大人になるために。 前回は、「プロの保育を学ぶリソースにできないか?保育園」というようなことで書いたけど、今回は、「小さな政治を学ぶ・保護者会」というワケで。 コミュニティだからなあ。保育園は。理想としては。やっぱりね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 19, 2008 06:37:33 AM
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