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カテゴリ:中村美香子(さんさんぷろじぇくと)
中村美香子です。
民営化のほうは、今、2次審査のときに保護者全員にやってもらうアンケートのことが、大詰めに来ています。保護者としては、どの事業者にやってほしいか、(どの事業者だけにはやってほしくないかというのがあればそれも)、意思を表明し、選定委員のメンバーには考慮してほしいというわけです。 これもいろいろ論点があるのですが、一定の内容と条件のもとに、自治体がやってくれそうな感じになっています。ただ、その制約の度合いによっては、保護者の会が自分たちでやるということになるかもしれません。交渉も全部終わっていないから保護者のほうもすべて整理できていないし、自治体のほうは、なにしろ、この間の「まるっと取り消し」があったりするから、まだまだわからん。 自治体が保護者全員から意向を問うということになれば、選定委員の見方(つまりどれぐらい配慮しないといけないか、とか。)も違うし、事業者選定のプロセスのひとつとして位置づけられれば、民営化史上、画期的だと思う。 ただ、なにしろ制約がある。自治体のほうは、事業者への不利益な情報が勝手に事実を離れたような内容でそこらじゅうにとんでいく、というのを恐れているので、アンケートの設問上、事業者にマルバツをつけたらいかんとか、公表は閲覧や掲示方式にしてくれ、紙の配布はもちろん、ウェブ上の保護者掲示板に載せたらいかんとか、記名式でなければいかんとか。 しかし、2次審査では、保護者が、応募事業者の運営している園の視察に行ったり、応募事業者と意見交換をする会も設けられている(うん、これも先行民営化園での保護者の方々の子努力の結果、かちとられたものです。)ので、風評被害とか言ったって、親がそのことについてまったく喋らないワケもない。それに親の判断したことも、そうそうバカにしたもんでないと思うけどね。 だって、選定委員だって、5人のうち、3人までが自治体関係者なんだもん。 ひとりは自治体の子ども関連担当部署の部長。そして課長(この間、協議した相手)。そして今の園長。まー、園長は入っててもらってもいいけど、この3人は客観性の確保という点から見て、親となにが変わるんだいっ。まったくの当事者やんか~ この2次審査のアンケートのゆくえについては(最初は投票って言ってたの。でもそう言っただけで自治体と話できなくなるから、アンケートと言うようになったワケ。)、また、次回ご報告しますね。 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××× 今日は、この間から読んでた「パリの女は産んでいる」(中島さおり、ポプラ社、2005.11)について思ったことを書きたい。 うーん、なんちゅうか、子育てっつか、家族政策に対する財源のほうりこみかたがフランスは日本と全然違う!めざせフランス!というのは、この4つ葉でも話題になっていて、私もそう思ってた。で、国家予算のうち家族政策ないしは子育て支援にあてている財源の規模については、実際見習いたいと思う。 しかし、フランスの子育ての現場について体験をもとに書かれたこの本を読むと、「アラ、こうはしたくないかな。」とか、「日本の子育てって実はいいかも・・・私もがんばってるほうかも!?」などと思えてくる。 そして、ほんとうーーーに、「カルチャー」って何なんだろうな、女の生き方や子育てにおける「普遍性」とは何なんだろうな、と空に向かって手をあげて、空をつかんでみたくなる。 ま、たとえば。 ヌヌーとよばれるベビーシッターの存在が子育てと仕事の両立を支えるうえで大きな役割を果たしていること。フランス女性の75%が第1子を産んでも仕事を続けるが、3歳以下の子どもの保育園児率は9%。フランスだって、3歳にならない子どもの保育園は、やっぱり不足しているのだ。そこを埋めるのがベビーシッターという社会事業。ベビーシッターといっても、移民もいれば、学生もいれば。外国人っていうのは多いみたい。フランス語もいまいちなこともある。もちろん保育士の免許なんか持ってないのが普通。 で、3歳からは100パーセント「保育学校」に入れる(公立ならタダ)。でも、そこで子どもたちがやるのは、遊びが主体ではなく、アルファベット、数、数字、筆記体などのお勉強が主体なのだそう。お遊戯だの草花や動物の世話だの、そんなノリではないらしい。子どもの相手をしているのは、やさしいお姉さんのような保育士、というイメージからはほど遠い、かなり小学校的な「教師」であると思ったほうがいいらしい。 うーん。皆さんはどうですか?それって、私たちのほしい子育てだろうか? フランス・・・というか、ほかのいわゆる欧米諸国などの子育てと日本の子育てとで、よくあげられる違いに、子どもと添い寝しているか夫婦の寝室は別か、という話がある。 これはすごく象徴的なハナシなので、アタマに入りやすいんだけど、まあ簡単に言うと、親ないしは女の生活優先か、子ども中心かということになる。欧米人のアタマの中では、子どもを別室で寝かせるのは子どものためってことになるのだろうけど、標準的な日本人としては、少なくとも3歳より前にひとりで寝かせるのが子どものためとは考えないだろう。 実際、日々、子どもにかけてやれる気持ちと時間と労力とお金と・・・ま、要するに子どものための人生と、自分のための人生と、天秤にかける瞬間はよくある。かけないまでも、息苦しく思うことはある。 フランスの女性は、仕事もやめない(むしろ、外で働いていないほうがイカンというプレッシャーがある)し、女として現役であることにもこだわるし、子どもを預けて夫と出かけ続けるし、不倫しちゃったら(妊娠中とか産後1ヶ月とかでもそんなんありらしい。あらゆる意味でアタシたちにはありえないけど・・・)、カップルを組みなおすこともある。胸のかたちが崩れるから(実際崩れました。(涙+笑))、授乳はいやだというのもよくある向きだ。 みたいなことも書いてあって、うーん日本の私たちも、パリ女のツメの垢を煎じて飲んでみてもいいかも。なんてマジメな私たち・・・とか思ったりするが、 やっぱりマジックはないんだな。ってことも思う。 なっかなか、女の「自分のための人生」を大事にしながら、保育のプロによる質の高い保育と教育を受けさせて、というのをすべての女性に保証する。っていうのは難しい!ことなんだ。財源としても。 まーね、3歳以上を無料にしないで、もうすこしならしてはどうなんだ?とは思うけどね。 でも、結局、すべての女性に仕事で自己実現しながらその子どもたちに行き届いた保育をする、というのは、フランスであってもできてないことなんだなあと。そんだけお金入れてもそうなの。しかも、借金漬けの日本に、打開策はあるのだろうか? 日本の子育て支援策は、「認可保育園増設」しかないんかいっという批判がなされてきたけれど、ま、でもとりあえず、保育の質にこだわってなんとかしようというスタンスは評価してもいいなあと思った。保育ママにしても、無認可の認可化にしても、もう無認可でいいや、そのへんのベビーシッターでたくさんだろ、というスタンスではないものね。 とにかく、いろんなことを思う、よい1冊だった。どうか皆さんも読んでみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 3, 2008 08:58:24 AM
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