|
カテゴリ:中村美香子(さんさんぷろじぇくと)
中村美香子です。
今日のテーマは、また、引き続き、「資本主義はなぜ自壊したのか」(中谷巌、集英社インターナショナル)のホンから考えたこと。 中谷氏は、新自由主義を標榜するグローバル資本主義が世界に蔓延した結果、日本もスゴイ格差社会になってしまったとしているわけだが、・・・ そして新自由主義の基本的なセオリーから、個人はアトム化し、自分の利益や効用を最大化することが行動原理のメインを占めるようになってしまっているというようなことも指摘しているわけだが、・・・ 経済的な格差、派遣と正社員、高齢化しまくった地域、などなど、日本のいろんな局面で生まれている社会の分断という問題をどう解決するか、については、国家に期待できる役割は少ないとしている。 ま、そうは言っても、経済的な格差を修正し、所得の再配分を行う機能ややっぱり国家にあって、その機能はいまや強化すべきだということは言っているのだけど。日本の所得税率は現在37%と比較的低い。アメリカよりは高いけど、北欧諸国がもーっと高いことはよく知られていることだし。その処方箋として、ただ直接税の累進性を上げよということでなく、還付金付き消費税というユニークな手法を提言している。これは、消費税というのは所得の低い人に対してキツイという逆累進性があるので、一定の金額を全員に還付することによって、それを緩和するという方法なのだって。この議論はこの議論で面白い。直接税をがんととれば、やる気がなくなって牽引する力がそがれ、社会が停滞する・・・という議論は、確かに一理あるのだろうと思うからだ。うーん、でもこれはやっぱり新自由主義に洗脳されているからそう思うのかな。 ま、それはおいといて。 北欧諸国の高福祉・高負担の路線は、よく知られていることだけど、それは私たちも採用してこなかった。でも、直接税の高い北欧諸国が、社会主義でもなく、アメリカや日本のように新自由主義によって格差が拡大して希望がない・・・という状況でなく、経済もそこそこうまくいっており、高負担に対してモンクを言わないのかというと、それは社会に支えられているという感覚があるからだと筆者はいう。 年金や福祉という、行政がかかわるシステムはもちろんだが、たとえば出産した後、出産費用などの自己負担が限りなくゼロに近いという金銭的支援もさることながら、「子育てにまつわるさまざまな親の苦労を国家というよりも地域社会全体で肩代わりしてやろう」という体制ができているからだ、と。具体的には保健婦の家庭訪問、デイケアサービス(一時保育みたいなもの?)、などなどが挙げられているが、デンマークの子育て支援はもっといろいろあるだろうと思う。虐待してしまいそうな家庭を、親ごと面倒みる施設があるというようなことはm私も読んだことがある。 で、ここで筆者が強調するのは、「子どもは地域社会が育てるものである」という意識が社会全体にあって、サービスの担い手=国家ではなくて現場の人々や地域社会の役割が適切に果たされていることだ。 社会の分断を解決するために、中間的共同体の存在が不可欠であるという主張がされている。地域のコミュニティ、NPO、趣味のサークル、などなど。昔は会社が提供していたようなそれらの機能集団。 国家が安心、安全をすべからく提供できると信じたのが社会主義で、その対極が新自由主義で、結局それもだめだったと言いたいわけだ。 そうして考えると、子育て支援をやっている人たちは、ほんとに自負していいと思う。 中間的共同体をつくっているのだと。あたらしい社会のかたちをつくっているのだと。 自由がなくても、自由すぎても生きていけない人間が、しあわせを感じるための、すばらしい装置をつくっているのだと。 もう時間がなくて書けないけど、私たちの年代は、社会主義の崩壊も見たし、バブルの崩壊も見たし、今またグローバル資本主義の功罪も見ている。 子どもを育てること、社会で支えようという動き、毎日私たちが感じていることは、こうした。それこそグローバルな歴史の流れの中で、生まれるべくして生まれてきた、歴史の要請なのだ。 どうでしょう。モチベーション上がった? 私もそう自分を励まして、ええと、保育園で支えあうシステム・・・保護者会がそういうものになればいいなと思ってます・・・保護者会の立ち上げをほんとにやろっと。次回はそのはなしを書ける状況にしますっ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 9, 2009 07:33:26 AM
コメント(0) | コメントを書く
[中村美香子(さんさんぷろじぇくと)] カテゴリの最新記事
|
|