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Nov 25, 2007
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テーマ:B’zに一言(459)
カテゴリ:☆OH!GIRL





マツコさんは82才。

脳梗塞の後遺症、そして認知症。



マツコさんには二人の息子さんと一人の娘さんがいる。

病院に来たことはないが。




夜中に大声をあげるマツコさんを、

他の患者が不穏になるので、

観察室に移した。




マツコさんは食事が摂れない。

嚥下が出来ない。

だから持続点滴をして栄養・水分を補う。




マツコさんは時々、悲しそうな目で私を見る。



「さえちゃん・・・」



マツコさんの娘の名前、さえこさん。



3日前、マツコさんの容態が急変した。

熱発とレベル低下。



私はマツコさんの首の下に氷枕を置く。

マツコさんはもう目も開けない。



心臓の動きや、呼吸の状態を把握するために、

モニターが装着された。



当直の先生は、あと数時間かな、とつぶやいた。



家族に連絡しようと電話をかけたが誰も電話に出ない。

子供3人とも連絡がつかない。



カルテを見るとNO-CPR(延命拒否)


マツコさんは今年の3月に入院してきた。


トイレに行く途中、階段から落ちた、とのこと。

右太腿の骨折。




マツコさんは、それまでは、自分で歩いてたんだ。

自分で買い物に行って、食事を作って、

子供たちは成長して遠方に住み。

でも、自分で生きてたんだ。




人が年老いてやがてはその命が終わる。


そんな事はわかってる。





医療が進歩して、ほとんどの命は機械や、チューブで、

生かされている。


口から食べれなくなったら胃に穴を開けて、

流動の栄養食を入れる。


味も、ない。

温度も、ない。



呼吸が出来なくなると気管に穴を開ける。

呼吸器がつく。





マツコさんの家族と連絡がついた。

「今から行きます。2時間で着きます」



「マツコさん、娘さんが来るよ、

さえこさんが来るよ」



マツコさんの呼吸はだんだんと弱くなり、

でも、私の言葉が聞こえたかのように、

時々、大きな息を吸い込みながら。




「お母さんっ!」


さえこさんが来た。



当直医から説明を受ける。





「何でもいいから、母親を生かせて下さい!」





はい?




「お母様はこのまま、眠るようにお亡くなりになると思います。

延命をする、という事は口からチューブを入れます。

呼吸器をつけます。

そうされるんですね?」



「お願いしますっ!」




挿管する時、マツコさんの目から涙がおちた。

すすーーと、涙が流れた。




マツコさんは生きている。

機械で生かされている。



容態が安定したら、胃に穴を開ける。

そこから一日の栄養が入る。



娘さんは、「子供が待ってますから」と、広島に帰った。




マツコさん、これっていいのかな。

マツコさんにとって、いいのかな。

マツコさんの人生を、機械に任せて、いいのかな。



看護師をして毎回思います。
生きること、死ぬこと。

人は選べないんだ、って。

死ぬときこそ、自分の意思で選びたい。








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Last updated  Nov 26, 2007 12:00:52 AM



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