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と、いうわけで、昨日は非機能和声によるリハーモニゼーション「時計を止めて」をご紹介しましたが、非機能和声non-functional harmonyの考え方について、例によって私の語り口で解説したいと思います。

機能和声

先日も少しお話しした通り、非機能和声とは、可能性として考えられうる全てのコード進行から、音楽理論上で「機能和声」として解説されているコード進行を除いたもの、と定義することが出来ます。読んで字のごとく、といったところ。

すなわち、非機能和声に興味があって、是非ここで一発ためしに非機能和声の曲を書いてみたい、というような場合、それを実現する最短距離は、まず機能和声を習得し、それを回避する方向性で曲を書く、ということになり、いずれにせよ機能和声を習得するために理論書を紐解くことになります。

ところが、「理論書」と一口で言っても様々な理論書が存在しますので、その内容により「機能和声」の定義も変わってしまう、という問題がありますね。しかし一貫しているのは、「機能和声」というのは「ある調性tonalityの内部で機能する和声」ということですので、つまるところ「調性とは何ぞや」という話になりますが、調性という問題については様々な観点から様々な見解があり、異論・反論が多数存在します。しかし学習目的という大前提で述べると、ジャズでいう調性とクラッシックでいう調性に大きく分けられると思います。

調性というとまず頭に浮かぶのが、楽譜のアタマに付けられている、あの七面倒くさいシャープやフラットかもしれませんね。あれは何のために付けられているのでしょうか?それは「演奏者を困らせて、きりきり舞いにするため」ではなく、「ある一つの音程をその曲の中心の音として確立するため」に付けられています。つまり、調性とは、平たく言うと「その楽曲の中心となる音程」ということになりますね。英語では調性のことを一般的にキーkeyと呼びますが、日本でもよくジャズなどで他のプレイヤーと演奏する時など、ドラマー以外は「この曲どのキーでやる?」などという話が出ますよね。逆に、演奏するキーを尋ねるドラマーというのも面白いかもしれませんが。。。

ここで、「じゃあFでやろう」と答えた場合、これから演奏する曲の中心となる音はFにしよう、という取り決めが行われている、ということになります。それでつらつらと譜面に書かれたメロディを演奏して行くと、キーが指定されているにも関わらず、途中で臨時記号のシャープやフラットに出くわしたり、元のキーで指定された長音階や短音階では構成することの出来ない和声が出てきたりするでしょう。

こうした和声や臨時記号は、なぜ出て来るのか?という疑問に対する回答の違いが調性に対する見解の違いである、と大まかに言えると思います。例えばキーがCの曲で、Bbmj7という和音が出て来たとして、「コレ何?」といった場合、ジャズ的にはbVIImaj7という、ミクソリディアンのモーダル・インターチェンジの和音だ、という回答になると思いますが、クラシック(トラディショナル)ではおそらく「転調」という解釈しか出来ないことになります。つまりクラシック(トラディショナル)では、ここで「確立されているはずの調性が変更されました」という解釈をする以外にない、ということですが、ジャズでは「いやいや、まだまだ調性は保たれている」という解釈になるわけです。

この見解の相違は、クラシック(トラディショナル)とジャズの、モードに対する考え方の相違に基づいています。クラシック(トラディショナル)で認識されているモードはメジャーモードとマイナーモードの2種類と、マイナーの亜種(ハーモニック・マイナーとメロディック・マイナー)だけで、それ以外は「こんなのもあります」として取り扱われているか、例えば「ナポリの6度」「イタリアの5度(6度)」など、特殊な場合として取り扱われているだけの場合が殆どです。つまり、クラシック(トラディショナル)では「それでは実際にミクソリディアンのダイアトニック・コードを見てみましょう」という話は出て来ません。

これに対して、ジャズではそれに加えてロクリアン以外の全てがモードとして認識されています。

このモーダルインターチェンジ以外にも、クラシック(トラディショナル)では「その調整に1つしか存在しない」はずのドミナントコード「属七の和音」が、ジャズではバカバカ出て来ます。あまつさえ属七の和音の前に、その属七の和音が含まれる調性のIIm7が付いていたりします。ちなみにクラシック(トラディショナル)で、ある調性において「属七の和音(つまり五度下がって解決するルート、長3度、5度、短7度で構成される和音)」が出て来ると、Tonicizationと呼んで、その五度先のコードを一時的なトニックとみなす、という解釈をします。

とまあ、様々な解釈があることはお分かり頂けたと思いますが、総合すると、一般的にジャズ・ポピュラーの方がクラシック(トラディショナル)よりも「調性」に対する考え方が広義である、というのが分かります。それを踏まえて、ジャズの観点から見た「機能和声」についてまとめてみます。

ジャズの機能和声

巷で言われている通り、「理論」とは、実際に起こっている現象を一般化したものです。音楽理論でもしかり。ジャズ・ポピュラー理論で取り扱われている機能和声の幅が広い、というのは、とりもなおさず実際の楽曲において、そうした和声が幅広く用いられている、ということです。しかもジャズ・ポピュラー理論では、そうした和声はそれぞれ特定の進行をする、と定義されていますので、それぞれ実際の楽曲で用いられた場合に、進行形態にも共通点がある、ということです。大部な和声理論書では、こうした一般化された和声とその進行形態が詳しく解説されているわけです。

一方で、クラシックかジャズかを問わず、ダイアトニック・コードを順番に並べて、その機能などと共に整理する、という解説方法が取られているケースというのは間々見受けられますね。

例えば、Imaj7, IIm7, IIIm7, IVm7, V7, VIm7, VIIm7(b5) というように列挙し、それぞれの進行形態(たとえば、IIm7はV7に進行するケースが多い等)を整理する、というのは、理論書の如何を問わず、かなり一般的な「まとめ」方法になっています。

そんでは、これをダイアトニック・コード以外でもやってみる、というのが、機能和声の「早分かり」になります。つまり、ダイアトニック・コードに加えて、ノンダイアトニック・コードのうち、モーダル・インターチェンジを含めてオクターブ内で列挙する、という方法です。

つまり、こういうことです。

I---(maj7/7/m7)
bII---(maj7)
II---(7/m7/m7b5)
bIII---(maj7)
III---(m7)
IV---(maj7/7/m7)
#IV---(m7b5)
V---(7)
bVI---(maj7)
VI---(m7)
bVII---(maj7/7)
VII---(m7/m7b5)

こうした

1) モーダル・インターチェンジの和音とその進行形態、そして
2) ノンダイアトニックなII-V7とII-bII7やII7-V7の組み合わせ
3) シンメトリックな構成になる和声(ディミニッシュ各種・オーグメント各種など)

をマスターするだけでも、ジャズで言うところの「機能和声」の大半をカバーすることができます。それ以外のコードは、クラシックで「ナポリの6度」が特殊な進行として取り扱われていたのと同様、類型化されてはいるものの、体系化されるには至っていませんので、個別に覚えるほかありませんが、数はそれほどありません。

非機能和声のリハーモニゼーション

ここでは「非機能和声」を取り扱うという趣旨ですので、こうして苦労して習得した知識というのを、いわば「逆手」にとって利用します。つまり、あるメロディーに対して別のコードを付ける際に、実際に楽器を演奏しながら、こうした「機能和声」として取り扱われているコードとその進行形態が聴こえるようなものを殊更に、というか、故意に回避するわけです。譜面に書いた後にじっくり分析して回避する、というのも当然アリです。

しかし、ここで問題になるのは、ただただ回避するという一本槍で曲がまとまるか?という問題です。そこでやはり「それでは非機能和声で実際に作曲された楽曲を見てみよう...」ということになります。実際、被機能和声を用いた作曲技法も様々な方法が既に体系化されています。

例えば、同じクオリティのコード(例えばm7)だけを、ルートを同じインターバルだけ離して利用する、といった、シンメトリックな和声進行、同じクオリティのコードを自由に用いるパラレリズムという手法などが既に一般化されています。しかしこれらはいうなれば、旧来のルールを打ち破って確立された「新ルール」ですので、やはり「ルールに従っている」と言わざるを得ませんし、実際にリハモニゼーションすると、「いや、どこかで聞いたことあるサウンドだなぁ...」ということになってしまう場合も間々あります。

何れにしても、最終的にはメロディとの組み合わせで「曲」となりますので、そこでのオリジナリティが勝負ですよね。

最終的にそんな身も蓋もないこと言って、それではこれだけ色々やって見て最終的に何が得られるのか?というと、

「先人が如何にしてクリエイティブであり続けようとしたか」

という苦難の歴史だ、ということに尽きると思います。

 

 






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Last updated  Oct 30, 2010 10:17:58 PM
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