と、いうわけで、
本日はGKenさん風に。。。といっても、あまり知っていて便利な単語でも、知的水準の高い単語でもありませんが。。。
ある日のニュースの見出し(本物):
Woman Killed in Christmas Drive-by Shooting
さて、ここで「Drive-by」とはどういう意味でしょうか?
てニュースの本文を読めばわかりますけどね。。。
LOS ANGELES—Police say a 25-year-old woman was shot dead on Christmas night outside a friend's house while her young daughter was in a nearby car.
Los Angeles police Detective Doug Pierce said Sunday that Kashmier James was visiting friends in South Los Angeles and returned to her car when a blue vehicle pulled up alongside her at about 10:20 p.m. Saturday and fired shots.
Pierce says James died at the scene.
He says James' 4-year-old daughter was inside her car at the time of the shooting.
Police are searching for suspects.
Pierce says James was a nurse and the motive for the shooting is unclear.
(AP)
青い自動車が被害者の隣で停止し、発砲した、とありますね。
Drive-by shooting またはその省略形Drive-byとは、自動車でターゲットとなる人物に接近し、車内から発砲してそのまま逃走するという傷害ないし殺人犯罪の形態を指します。
そんでもって、私もこの「Drive-by」の現場に遭遇してしまった、という過去があります。その後この経験がトラウマとなってLAライフは惨憺たるものになってしまいました。
場所は上記ニュースと同じ、LA南部です。
その顛末をちょっと振り返るとしましょう...
(ここからはDJ Kenさん風に)
ようやく3000マイルの旅路も、フィニッシュライン。トラフィックもボリュームが徐々に増え、トレーラーを牽引しているためにヘタリ切っていたブレーキをフロアまで踏み込むことも多くなる。
ボストンを出て5日。かなりの強行軍だったが、引っ越し資金に乏しくトレーラーで引っ越しとなり、かつトレーラーのヒッチの納品・取り付けが遅れたため、友人2名とともに発つ予定が私だけ後発となってしまった。しかも仕事始めまで5日しか残されていなかったという、かなりチャレンジングな引っ越しになりそうな予兆があったが、いざ走り始めるとそれほど難しいことはなかった。先発2名のフォード・トーラスはあえなく道中で生き倒れ、LAに到着したのはクラウン・ビクトリアだったことを考えると、コップカーとして10万マイルを走り、その上にロッキー山脈を越えてLAまでトレーラーを引いてたどりついた私のサンダーバードは幸運だったのだろうか。
LAに入り、多少迷った後、改めてアナハイムに向かう。初日に滞在予定だった先発2名に出迎えられ、その日はアナハイムの友人宅に滞在。翌日オフィスに顔を出してから、過積載トレーラーの中身をU-haulのストレージ(トランクルーム)に降ろすべく、予約しておいたLA中心部のロケーションまで、3人で連れ立って出かけた。
しかし、U-haulのエージェントによれば、ボストンから出発前にトレーラーと一緒に予約しておいたスペースを、別の客に貸してしまった、という。
まあホテルでもなんでもそうだが、アメリカでよく遭遇する状況ではある。しかしこうした場合は、力の限りを尽くして文句を叩きつけるに限る。疲れる国だ。
それでガミガミとどやし始めて2分、予想外に早くソリューションを提案してきた。「大丈夫。別のロケーションに空きがありますから、そちらで荷物をおろしてください。」
指示通りのルートで「別ロケーション」にたどりつくと、ストレージの建物前でトレーラーを停め、3人でそそくさと荷物をおろし始める。荷物の量はそれほどでもないが、ストレージが狭いため、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しているうちにどんどん時間が過ぎてゆく。
「そんじゃあ一服してて」
と連れ立った友人に告げて、その友人がたばこに火を点けた直後、銃声が響き渡った。30発前後だったと思う。
以前からボストンでも危険地域とされるRoxburyやMattappan を中心に活動してきた私。銃声はすぐにそれと分かり、即座に倉庫内に駆け込んだ。
友人は銃声を識別できず、混み合った駐車スペースに居た全員がカバーに入って伏せているのを、驚いた表情で眺めている。流れ弾が自動車や窓ガラスに当たる。
「早く隠れろ!」
と倉庫内から叫ぶ間もなく、銃声は止まった。もう大丈夫だろうか。鼓動がおさまらない。
外に出ると、皆自分の車を見て弾痕を見つけては恨めしそうに悪態をついている。倉庫内の窓ガラスにも弾痕が付いていた。
私のトレーラーに戻ると、なんと油圧式ジャッキや工具など、積み下ろし中だった荷物が数点、無くなっている。
火事場泥棒。。。
遠く道路の反対側に目をやると、ハイウェイの反対側の路上で人だかりがしている。流れ弾に当たった負傷者が室内に引きずり込まれている模様。
そのままU-haulのオフィスに入ると、まるで何もなかったかのように事務処理が行われ、カウンターの前には客が整然と並んでいる。オフィス内にも弾痕がある。
発砲から30分余り、自分の番になって、まず聞いたのは、
「警察を呼んだか?」
Did you call the police?
だった。すると、
「サイレンが聞こえるか?フラッシュライトが見えるか?」
Do you hear siren? Do you see flashlights?
と聞き返された。
つまりは、「そんなもん呼ぶわけないだろう」
という返答だ。
「とんでもないところだ!こんなストレージ今すぐキャンセルするわ!」
と怒鳴りつけてやったら、店員も居合わせた客も、おなかを抱えて爆笑された。
それまでギグで演奏していた飲み屋の裏や、リハーサルをしていた建物の近辺など、発砲事件は何度か遭遇したことがあるが、警察が来ない、ということは無かった。
かなり閉口したが、荷物はすべて降ろして、足早にその場を去った。
...............................................
1週間後、ルームメイトとなる予定だった(がちとプライベートで問題があってルームメイトにはならなかった)友人が夜のLAを車で案内してくれた。
そこで、初日の出来事を話すと、開口一番、
「ああ、Athensか、あそこは行っちゃダメだよ。」
そんなこと言ったって、こちとら行きたくて行った訳じゃない。後で分かったのだが、なんとU-haulで割り当てられた代替ストレージの場所は、ギャング抗争中のSouth Central とComptonのちょうど中間地点にある。
「自動洗浄オーブンと呼ばれていて、警察さえも近寄らない危険地域だ。」
自動洗浄オーブン(Self-cleaning oven)とは、警察さえも問題解決を諦め、互いに殺しあってギャングの人数が減るのを待つしかない、という状態のことらしい。
そうこう話をしながら走ってゆき、Van Nuysにあるこのルームメート候補のアパート近辺まで来た。
スターバックスで一服しようということになり、現金を下ろそうとして、車を止めてATMまで歩く。
すると空から一筋の光が私を照らす。
警察のヘリ。
「ホントにここ安全なのか?」
と友人に尋ねる。すると、
「慣れるしかないよ」
それはどういう意味だ?
スターバックスを出て、アパートへ向かう車内で信号待ち。すると、後ろから音もなくパトカーが数台近寄ってきたかと思うと、交差点を閉鎖。パトカーからショットガンを持った警官がゾロゾロと下りてくる。皆一か所を見ている。
South Centralのことを「あそこは危ないから行っちゃダメだ」とのたまう当の本人が住んでいるVan Nuysは、つまり眼前に展開している光景は、はたして安全と言えるのか?
その後しばらく住んでいたのは北LAのグレンデール・ボーダー近辺だった。Van Nuysから東にフリーウェイ1本で来れる。
ホント、泣きっ面にハチだが、いざ帰国する段になって車を売ったら、その翌日からLAのバスと地下鉄がストライキに入った。
そうなると車なしでは全く身動きが取れないLA。
大陸を横断するモチベーションとエクスぺクテーションに対して、あまりにも酷過ぎる体験だった。