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2004/06/06
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先週買いこんだ文庫本を二冊読み終えた。

山田詠美著『姫君』

と 

石田衣良著『娼年』

である。


二冊をひとくくりにするのはおこがましいと思うが、
どちらも、精神的に性的な内容だった、と思う。

愛と生と死と、そういうのが一緒くたになっている、
そんな気がした。



ほんの想像に過ぎないが、

性的な部分をとてもリアルに描くためには、
精神的な努力だけではダメなのではないだろうか。

努力ではなんともならない、何かがある気がする。
それが、経験なのか、想像力なのか、センスなのかはわからないけれど。


特に、石田氏の『娼年』の描写は、
男性の著者ながら、女性の気持ちのようなものまで
あまりにリアルで、読んでいて快感を覚えた。



ドライでクールなんだけど、
それでも、人間の根本的な欲望というか、
何かを渇望している熱さを皮膚の下に隠し持っていて、
それに気付いているようで気付いていない、
あるいは気付かないふりをしているような、
そういう温度を絶え間なく感じていた。


あからさまな色っぽさ、艶っぽさよりも、
そういうかもし出す雰囲気というか、
匂いのようなもので魅力を感じられるのはステキだと思う。

そういう人に私もなりたい。


* * *

今日、妹と買い物に行った。


オシャレ坊主で、精悍な顔立ちで、
頭の形のみならずスタイルもかなりよく、スマートで、
モノトーンの洋服が洗練された抜群の雰囲気を演出している、
そんな子連れの若いお父さんを見た。

彼は、ベビーカーを押し、
ある店舗の中をくるくると回っていた。

私たちは、
気に入ったスカートの在庫確認をしてもらっている最中で、
いきおい彼を目で追っていた。

そして、彼につりあうような美人のお母さんを想像していた。


しかし、彼の隣に現れたのは、お世辞にもスマートとは言えない、
中肉中背(より少しぽっちゃりめ)髪はもさもさ、猫背でさえない、
「お姉さん」より明らかに「おばさん」に近い女の人だった。

勝手に想像していた私たちが悪いとはいえ、
正直、かなりがっかりした。
見た目では全くつりあわない、即座にそう思った。

見た目では計り知れない魅力が、
おそらく彼女にはあるのだろう。
少なくとも、彼にとっての。

もしかしたら、結婚する前、出産する前は、
もっと自分を磨く時間もあったのかもしれない。
子どもができ、忙しくなってから、
自分を飾ることが難しくなっていたりするのだろうか。


そのカップルを見て、
本当にいろんなことを考えた。

「不美人は三日で見慣れるって言うしね」
と、妹は言い放った。

それは、私にも美男をつかむチャンスがくるということだろうか(笑)


最近はよく、自分の結婚後のことを考える。
結婚した妹もおり、
結婚するのに早い年齢でもなくなってきているのが原因だろう。


休日、家族で出かけるとき、
着飾って厚化粧、という母親も興ざめだが、
家着でそのままでかけてしまう母親もよろしくない。

母である以前に女でいたい、と
何も知らない私は思ってしまう。
理想であって、現実には難しいことだろうと思うが。


* * *


さて。
どちらにしても私はいまのところ、
どなたか素敵な男性の寵愛を受ける一人の姫君になりたい、
だけである。


そのためには、
「どなたか素敵な男性」
にめぐり合うことも一つだが、
「寵愛を受けられる」ような素敵な私になることも不可欠である。


頭でっかちはよくないのよね。





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Last updated  2004/06/06 11:47:33 PM
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