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先週買いこんだ文庫本を二冊読み終えた。
山田詠美著『姫君』 と 石田衣良著『娼年』 である。 二冊をひとくくりにするのはおこがましいと思うが、 どちらも、精神的に性的な内容だった、と思う。 愛と生と死と、そういうのが一緒くたになっている、 そんな気がした。 ほんの想像に過ぎないが、 性的な部分をとてもリアルに描くためには、 精神的な努力だけではダメなのではないだろうか。 努力ではなんともならない、何かがある気がする。 それが、経験なのか、想像力なのか、センスなのかはわからないけれど。 特に、石田氏の『娼年』の描写は、 男性の著者ながら、女性の気持ちのようなものまで あまりにリアルで、読んでいて快感を覚えた。 ドライでクールなんだけど、 それでも、人間の根本的な欲望というか、 何かを渇望している熱さを皮膚の下に隠し持っていて、 それに気付いているようで気付いていない、 あるいは気付かないふりをしているような、 そういう温度を絶え間なく感じていた。 あからさまな色っぽさ、艶っぽさよりも、 そういうかもし出す雰囲気というか、 匂いのようなもので魅力を感じられるのはステキだと思う。 そういう人に私もなりたい。 * * * 今日、妹と買い物に行った。 オシャレ坊主で、精悍な顔立ちで、 頭の形のみならずスタイルもかなりよく、スマートで、 モノトーンの洋服が洗練された抜群の雰囲気を演出している、 そんな子連れの若いお父さんを見た。 彼は、ベビーカーを押し、 ある店舗の中をくるくると回っていた。 私たちは、 気に入ったスカートの在庫確認をしてもらっている最中で、 いきおい彼を目で追っていた。 そして、彼につりあうような美人のお母さんを想像していた。 しかし、彼の隣に現れたのは、お世辞にもスマートとは言えない、 中肉中背(より少しぽっちゃりめ)髪はもさもさ、猫背でさえない、 「お姉さん」より明らかに「おばさん」に近い女の人だった。 勝手に想像していた私たちが悪いとはいえ、 正直、かなりがっかりした。 見た目では全くつりあわない、即座にそう思った。 見た目では計り知れない魅力が、 おそらく彼女にはあるのだろう。 少なくとも、彼にとっての。 もしかしたら、結婚する前、出産する前は、 もっと自分を磨く時間もあったのかもしれない。 子どもができ、忙しくなってから、 自分を飾ることが難しくなっていたりするのだろうか。 そのカップルを見て、 本当にいろんなことを考えた。 「不美人は三日で見慣れるって言うしね」 と、妹は言い放った。 それは、私にも美男をつかむチャンスがくるということだろうか(笑) 最近はよく、自分の結婚後のことを考える。 結婚した妹もおり、 結婚するのに早い年齢でもなくなってきているのが原因だろう。 休日、家族で出かけるとき、 着飾って厚化粧、という母親も興ざめだが、 家着でそのままでかけてしまう母親もよろしくない。 母である以前に女でいたい、と 何も知らない私は思ってしまう。 理想であって、現実には難しいことだろうと思うが。 * * * さて。 どちらにしても私はいまのところ、 どなたか素敵な男性の寵愛を受ける一人の姫君になりたい、 だけである。 そのためには、 「どなたか素敵な男性」 にめぐり合うことも一つだが、 「寵愛を受けられる」ような素敵な私になることも不可欠である。 頭でっかちはよくないのよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/06/06 11:47:33 PM
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