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カテゴリ:恋愛に関すること。
「多分、僕たちは、あの頃から、だいぶ、変わったんだろうね。」
今日、一通の手紙が届いた。 多分に文学的な手紙だった。 この上なく懐かしい気持ちになった。 あのころ。 私が10代の終わりを生きていたころ。 まだ20世紀だったあのころ。 たくさんの本とたくさんのCDが積み上げられていた殺風景な部屋で、 テレビと机とソファとオーディオ以外何もない部屋で、 私たちはたくさんの時間を過ごした。 正論のような、道理にかなっていないことを言い、 迂遠なようでいて、直接に私の心に入り込んできた。 何度涙を流したことだろう。 それは、恋愛特有の涙だったのか、 彼に私の言葉が届かないことに由来する涙だったのか。 どちらともいえるし、きっとどちらともいえない。 私たちは、正しく、あのころを振り返られるようになった。 私たちの関係性はすっかり変わってしまったけれど、 あのころ過ごしたたくさんの時間と、 あのころ話したたくさんのことと(しかし、忘れてしまった) あのころ流したたくさんの涙を、 そして、あのときの決定的な出来事を、 客観的に眺められるくらいの強さを身につけた。 彼はどうしようもなく厭世的で、 その雰囲気が私にやるせなさを抱かせた。 だけど、彼は今、 強くなりたい、はやく大人になりたいと思っているようだった。 そんな願望を抱くこと自体、彼が変わった証拠だ。 私は彼に客観的に裁かれもしたけれど、かなりの割合で救われた。 存在を認めてもらった気がして、 あのころとは違った意味で涙を流しそうになった。 胸がほわん、てしたよ。 今日、一通の手紙が届いた。 多分に文学的な手紙だった。 この上なく懐かしい気持ちになった。 そして、私も文学的な気持ちになった。 文学的なだけじゃきっと生きていけないけれど、 それを胸のどこかに抱かずにはいられないんだろう。 「君の手紙も実に抽象的かつ断片的でしたよ」 そう。 私はそういう風にしかできなかった。 具体的に、すべてを羅列して述べるなんてできなかったんだ。 そこを乗り越えるのには、もうすこし、大人にならなくてはね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/01/26 10:55:12 PM
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