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カテゴリ:エッセイ、及びおもしろ時事談。
今年最後の、ガソリン入れにスタンドへ赴いた。
時間的には、午後の一時過ぎだったが結構混雑していた。 仕方がないから、順番を待って休憩室に入った。 ホンワカする温かみのある室内が、冷えた体をそっと包んでくれた。 いつも愛想の良い女の子が、 「オイルも交換しますか?」と、オーム返しに返事が来た。 「時間がかかるんじゃないの? 待ってるみんなにさ、悪いじゃないかな?」。 すると、ちらっと私を眺めてからゆっくりと私の傍に遣ってきて低い声で一言。 「みんながみんな、お得意さんとは限らないわ。 いつも行っているスタンドがね、混んでいた見たいね、年末だから」。 「あ~ん、新客なわけ、マジッ?」。 「タイヤ交換の所に入れて待ってて」と言う。 「交換、終わっているよ、一週間も前にやったろうさ?」。 「いいからいいから、そこで待ってて」。 彼女がそう言うので、それに従ってタイヤ交換のゲートに入って待つことにした。 「オーライオーライ」と言う、店員さんたちの声が飛び交う。 ガソリン入れの車が、少々数珠つなぎの様相を呈して来た。 「う~ん、こりゃ~長いこと待たされるな」と、覚悟し始めた。 とその時、もう一人の男性スタンドマンが何やら灯油缶らしきものを携えゲートに入って来た。 やがて、私の車のガソリンキャップの蓋を外し始めた。 「おいおい、灯油を入れるってか~? ジーゼル車でねぇぜ、ガソリンだよ?」。 「いいからいいから、間違いなくやりまっせに」と、一向に平気顔である。 ストーブの燈油入れに使うノズルを缶に差し込み、しゃ~しゃ~とタンクに流し始めた。 「こうもねぇ込みますがね、いつものお得意さんとは限らんのですワイナ。 でね、一度この缶にガソリンを入れてね、目だたないこの場所でサービスするわけですよ。 待たしちゃ申し訳ないんでね」と言う。 なるほど、日常のお得意さんのためのサービスのようだ。 結構気を使って戴き、改めてこのサービスに感謝した。 今まで一度も経験したことのないことだが、そう言えば年末年始にはこうした混雑も予想されていたので、いつもの年は早めに満タンにしていたはずだった。 もっとも、この年にもなると余程の要件でもなければ故郷へ帰郷すると言うことも無い。 最近は、遠乗りなどもしていない。 反対に、子供たちやお嫁さんたちの里帰りと言うことで我が家も賑やかになる。 急に、保育所にとって変わってしまうのだ。 スキーなどを楽しむために、やはりどうしても我が家への里帰りも多い。 ではあるが、今年のこの12月29日現在では屋根にも道路にも雪は無い。 天気予報は、寒気が横たわっているとは言えどもどうやら市内にあるスキー場には雪が溜まりそうもないようだ。 スタンドの若いスタッフの女の子が、2、3日お休みを頂けるから市内のスキー場で練習をして見たいと言っていた。 「八幡平か雫石でやったほうが、楽しいんじゃないかい?」。 「でもね、あ~言う所はね、他町村や外部からの人で一杯だわ。 まだ下手だからね、市内で手ごろだわ。 コースだって、結構2キロもあるんだよ、おじさん」。 「そうか、彼氏とスキーでランデブーかい、若いっていいなぁ」。 「ま~ぁ、こんなスタンドに素敵な彼氏が居るわけないじゃん」と言って、肩をすくめていた。 「スキー場でさ、見付けなよ」。 「子どもと家族ずれのスキー場で? ハハハハ、スキーに来ているおじさんたちがビックリするじゃんか」と、彼女は笑いこけていた。 てな訳で、どうやら今年も明るく見送って貰った気がした。 来年こそは、良い彼氏に恵まれることを祈ってスタンドを後にした。 「思いでも 抱負も包み 年も暮れ」。 皆さん、良き年をお迎え下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.12.30 07:53:29
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