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カテゴリ:エッセイ、及びおもしろ時事談。
ところで、どの程度の年になれば「あ~ぁ、俺も年を取ったなぁ」と感じるのだろうか?
もっとも、人によって感じ方が違うとは思うがその感じ方が様々なだけに、面白い言葉となって表れるのだろう。 近くの八百屋兼酒販売店でのことであったが、ここの親父は滅多に笑わないで冗談を言うお人である。 近くの飲ん平たちが、仕事の帰り際にチョイっと一杯引っかくて雑談談義にふけていた。 年中置きっぱなしにしているストーブを囲み、数人がどうでもいい今日の出来事や女話しに花を咲かせている。 そんな時に、店の親父が商品棚の野菜の位置替えをしている時にオナラをした。 「おい親父、ネギに染るじゃねぇかよ」と、水道工事屋の考ちゃん。 「そんなこたぁねぇさ、ネギの臭いにゃかなわねぇさ」と、親父がうそぶく。 「それにしてもよ、元気がねぇな。 まるでよ、ため息でもしているような屁じゃねぇかよ」と、今度は電気工事屋の章ちゃん。 「ハハハハ、ため息している屁か、こりゃいいや。 年は取りたかぁねぇな、オナラで年も解かるか」と、大工の要ちゃん。 この三人は、いずれも40過ぎの独身者である。 「てやんでぇ、屁に元気がねぇよりも金玉に元気のねぇのがよ、オメェさんたちだろうて」。 「おっ、飛ばっちりが来たぜ。 休ましてあるんだよ、早めに老けねぇようにな」と、考ちゃん。 「そう言えやぁよ、どんな時に年を取ったなぁと感じるだろうか、な?」。 「そうよな、女のオッパイもそうだがよ、尻を眺めた時かなぁ」。 「なんでぇよ、お尻なら色っぽさを感じるだろうて?」。 「いやな、もう拝めねぇかとふと思う時もあるぜ。 倅がさ、元気を無くしてよ」。 「俺も一言、いいかぁ。 あのさ、免許証の書き換えの時に俺はそう思ったよ。 検眼の時よ、両方では何とか丸の欠片をさ、上だ横だ下だと読めたがさ、片目となったらちっとも当たらねぇんだよな。 しかもよ、なんだあの昭和うん年生まれと言う表示さ、あれを見てグッと来ちゃったよ、年なんだなぁとさ、西暦でいいのによ」と、八百屋の親父。 「だろうさ、親父73だろ? もう、そろそろ免許証お上(警察)に返上の年じゃねぇのか?」。 「バカ言ってよ」と言いながら、女房が居ないかを確めるようにして辺りを見渡して一言。 「所変れば品変わるでさ、相手によっちゃ~ぁさ、レジの金を掴んでよ、追っかけたくなることもあるぜ」。 「なんだとーっ、そんないいババァがこの界隈にいるってかっ?」。 「おいおい、そんな大きな声を出すんじゃねぇよ、奥からババァが出てくるぜ」。 「それにしてもよ、今まで知っていたさ、歌手や俳優の名前を思い出さねぇ時があるがよ、あれも年こいた証拠かもな」。 「もある、俺は若い女の娘(こ)の艶(つや)のある肌をマジマジと眺めたときかもな」。 「なんたって、性欲が衰えたときだろうて、の?」。 「あのよ、オシッコしてさ、一振りで済んだものがさ、3、4回も振らねぇと仕舞い込めなくなっちゃったよな、これも年かな」。 「二日酔いのさ、臭いが消えねぇしシャキっと起きられなくなったな。 それによ、炬燵に入りさ、畳にゴロ寝して顔に付いたさ、その皺の跡が中々消えねぇんだよな」。 「そう言えやぁーよ、毎朝ウォーミングアップしねぇとさ、何となく体が動かねぇようなったな」。 「先だってよ、床屋に行ったんだよな。 その時にさ、鏡に映った顔を見てさ、あれっ、親父が居たと思ったよ。 てめぇの面(つら)なのにさ、ガックリ来たよなぁ」。 「ハハハハ、ちげぇねぇ、よくあるぜ、俺もそう思った時もあった。 それよりもよ、生え際がさ、ドンドン後ろに行くのが辛いな」。 「でもいいさ、考のようによ、赤ん坊のような毛のねぇ頭になりゃさ、もうこれ以上の悩みはねぇもんな」。 「これは年じゃねぇんだよ、若禿(わかはげ)と言うんださ。 動物学的に言うとよ、遺伝と言うことなんださ」。 「鼻毛が長くなって来てか、おまけに眉毛(まゆげ)が伸びて来てさ、小便すりゃ出が悪くてよ、出し終わってもまだ出るような感じがしてよ、数秒間仕舞いかねて居る時もあるよな、やはり年かもな」。 「それにしてもよ、昭和がドンドン遠のいて行くなぁ。 一方通行違反でさ、切符を切られた時によ、生年月日はだってさ、お巡りがよ」。 「大正じゃなくて、良かったな、おい?」。 「そこまで年は取っちゃいねぇがさ、いずれ若い方がいいがさ、それはよ」。 「高見盛も引退したな。 相撲界なんか引退すりゃよ、若くとも年寄り襲名とならぁ~な。 俺たち職人はさ、生涯現役よ。 匠(たくみ)なんだぜ、な、師匠だぜ」。 「落語や漫才屋みてぇにか?」。 「弟子のいねぇ師匠か。 師匠じゃなくよ、あれだろ、職人じゃねぇく作業員じゃろうが、の?」。 「どうでもいいがさ、襲名すりゃもうあれだな、年取ったと言うことなんだな」。 「それにしてもよ、一番年を取ったと思うのはここの親父だな。 大体にしてよ、今どきによ、ダイヤルを指で回す電話を持っているのはこの店だけだぜ。 だからこの親父がよ、電話を掛けるときゃ~よ、指をクルクル回すもんな」。 「あたりめぇよ、人は年を取っても電話機は年を取らねぇさ。 何がケータイだ、コードレスだ。 要は、通じれゃいいんだよ」。 「あ~ぁ、この寒さと雪でよ、財布も心も寂しゅうなるってぇのによ、女までが遠く感じるぜよ、まったく」。 古くて新しい老い方の問題ではあるが、どことなく漫才風でしかもチョッピリ嘆きと憐れみのある会話だった。 さて皆さん、あなたならどんな時に年を取ったと感じるでしょうか? 「その仕種 いつしか年を 証明し」。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.04.22 09:05:03
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