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カテゴリ:フランス
朝、ジェニーとアンディーがマントンから次の街へ出発する日だ。
ニースを経由してグレノーブルまで行くというので、ニースまで一緒に行き 見送った。 自分の一番好きな言葉一期一会。 旅は本当に人生の縮小版といったかんじで 出会いと別れの繰り返し。 人との出会いというのは不思議なもので、長い地球、人類の歴史の時間の中で、 ほんの一瞬の接点をきっかけに出会う。 何気ないきっかけ、その一瞬が少しでもずれていたら二度と出会わなかったとも思うが、 出会うべくして出会ったものだと今までの出会いを振り返るとそう思う。 お互いに何かを学びとる、何らかのメッセージを伝達しあう、使命をはたすため 人と人とはその瞬間に出会う。その一瞬に実はすべての意味がこめられていて 偶然ということは少しもない そう思うと出会いというものはさらに不思議なもので、別れというものにもまた意味がある。 「すべてがうまくいきますように」ジェニーが最後にそう言ってくれた。 今でもその言葉の響き、ニュアンスを覚えているが すべては自分がうまくいくと思っているとうまくいくものだと思う。 ジェニーとはその後も数年間手紙をやりとりしたが、再び出会うことはなかった。 二人と別れた後歩いたニースの光景はあまり覚えていない。 確実に人と出会い別れた後は何かしらのものが自分の中に残り、時に植えつけられる そしてまた人はその哀しみを内包しながら新たな出会いを重ねる。 その感覚がだんだん麻痺してきてしまう今の自分は、この時の17歳の僕の感覚に少しでも戻りたいと思う。 すべてが刺激的であかるく、世界を何も書かれていない真っ白なキャンパスのような目で見られていた自分に。 ユースホステルに戻り、数日前に買って日に日に切りわけながら大切に食べていたパンの残りにたまねぎを乗せ、ラタトゥーユの缶詰に浸しながら夕食を食べていたら 他のテーブルが目に入った。 ユースホステルでお金を払えば用意してくれる夕食。 そのお皿から湯気が出ているおいしそうな料理とそれを食べながらにこやかに話している人々、それを横目で見ながらすでに固くなってしまったパンにかじりつくのは 何だか辛かった。 明日はどんな出会いが待っているのか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.05.12 12:27:53
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