脾虚証の病症
脾虚証の病症 池田先生解説頭熱があれば頭痛がある。あるいは頭に汗が出る。これらの頭痛は胃経の熱のためだから前頭部が痛むことが多い。しかし陽実の頭痛もあれば陽虚の頭痛もあるので、他の病症などで区別する必要がある。お血があると慢性的に頭痛がしやすい。締め付けるような頭痛がする。あるいは夜に痛くなる場合はお血を考えます。慢性の脾虚胆実がある場合は胆経の頭痛がおきやすくなります。熱病の熱が多くなると頭が狂ったようになることがある。あるいはお血に熱が絡んでも狂ったようになる。お血があると気鬱になりやすい。陰虚や陽虚で水が停滞するとめまいが起る。咽喉陽明経に熱が多くなると咽喉痛が起こる。扁桃炎などの場合である。肺に熱があると喉が詰まったようになり、それが気になって気分が落ら着かなくなることがある。扁桃炎になりやすい人は、脾虚肝實になっていることが多い。慢性の脾虚肝實になると咽に何かが引っかかった感じになり、よく咳払いをする。眼腑に熱が多くなると眼が充血する。また眼瞼がただれている場合は胃腸に熱が多い。眼瞼炎、結膜炎、麦粒腫など目の病気はお血によって起こることが多い。ただし、脾虚で胃熱のときも起こりやすいので脾虚で胃熱だけの治療でよいか、肝実まで治療しなければならないかを判別する必要がある。白内障などは肝虚のことが多い。もちろん熱病で黄疽が出ていれば眼が黄色くなっている。鼻鼻は陽明経が支配しているから、胃腸に熱が多くなると鼻詰り、鼻炎、蓄膿、鼻たけ、鼻血などいろいろな病症が現れる。しかし、これも胃腸の實熱か虚熱か、あるいは胃は冷えているが経には熱があるかなどを区別して瀉補を加える必要がある。耳中耳炎は脾虚軒実が多い。お血があると耳鳴りすることがある。唇胃腸や陽明経に熱が多いと唇は赤くなる。胃腸が冷えていると唇が白くなる。子供の場合など、発熱していても唇は白いことがある。これは脾虚陽虚である。お血があると唇の色が赤黒くなることが多い。お血があると乾燥しやすい。肩脾虚で陽実でも陰虚でも陽虚でも肩は凝る。脾虚肝實は肩よりも首筋が凝ることが多い。また肩甲骨の内側が凝る。胸発熱があって胸が痛むことがある。これは脾虚陽実と脾虚陰虚と脾虚肝實の場合がある。腹いずれの場合も腹痛を訴えることが多い。とくに脾虚陰虚には腹痛はつきものである。また脾虚肝實になると胸脇苦満があらわれる。腰熱が膀胱に結ぼれてお血ができ、慢性になると腰痛を訴えるようになります。脾虚陰虚で腰痛を訴える場合があります。この腰痛は筋肉の引つりではなく、筋肉の疲れです。そのために引きつるとは言わずに、だるいと訴えます。脾虚肝實で帯脉が痛むことがあります。あるいはお血があると腰痛を起こしやすくなります。手足腑に熱があると手足に汗が出ます。脾虚陰虚の場合は手足の倦怠感が主になります。陽虚は手足のひえが主になります。また湿が関係して脾虚陽明系の實で関節が腫れる、また脾虚陽虚で関節が腫れる場合もあります。お血があると手足に内出血しやすくなります。大便陽実は便秘です。陰虚は急性病の時は下痢になり、慢性のときは便秘になります。陽虚は下痢になることが多いようです。大便の出始めは堅くても、後が柔便になるような場合は胃腸が冷えています。お血がある場合は堅くて黒い便が出ます。あるいは便秘の人もいます。慢性の脾虚肝實の場合で下痢する人は、下痢の後さっぱりします。小便熱があれば小便は少なくて赤くなります。熱がなければ多量に出て白くなります。お血がある場合小便は自利します。但しじに排尿困難や残尿感を訴える場合があります。その時に便秘していればお血です。月経膀胱に熱が多くなり、同時に胃腸の働きが低下すると、水が血に変われなくて月経が少なくなることがあります。このような人は月経が少なくなって肥満しています。これを血分の病と言います。熱と月経が絡んでいれば急性の脾虚肝實です。今までに月経痛がなかったのに急に起こった場合は発熱後のことが多いのです。小柴胡湯 お血があると月経痛を訴えることが多いのです。食欲陽実の場合は食べ過ぎます。陰虚の場合は食べ過ぎて食欲がなくなります。陽虚の場合は小食です。いずれも場合も発熱して食べれないということが多いのです。急性の脾虚肝實は普通食欲がありません。吐き気があります。慢性の脾虚肝實の場合食欲はありますが胃痛や胸焼けを訴えます。お血による脾虚肝實は便秘はしても食欲は減退しません。睡眠熱が多いと眠れません。陽虚の場合はよく眠ります。ただし胸に熱が多いと寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めることが多くなります。お血で不眠の場合もあります。口渇陽実でも陰虚でも口渇があります。陰虚の場合は飲みすぎると吐くことがあります。陽虚は口渇はありません。お血はのどは渇きますが、あまり水は飲みたがりません。