信じないことが大切
今日の午前中は瀋陽で仕事をし、午後一番でタクシーに乗り、瀋陽から1時間あまりのところにある取引先を訪ねた。その日のスケジュールはハードで、そこの取引先で面接が終わった後、また瀋陽まで引き返し、夜18:01発の汽車で大連へ向かう予定となっていた。取引先で面接をし、終わったのが4時。それから取引先の人がタクシーを呼んでくれたのだが、これが待てど暮らせど来ない。「大丈夫大丈夫、間に合うから」と担当者は言ったが、そこを出発できたのは、4時半も大きく回った頃。出発するなり、タクシーの運ちゃんはイライラしながらこう言った。「なんでもっと余裕を持って出発しなかったんだ、 これじゃ間に合わないかもしれないぞ」あなたを信じて待っていたからこの時間になったのよ。もっと早く見切りをつけて、その辺のタクシーを拾っていたら、もっと時間に余裕があったのよ。(と言いたかったが言えず。。。)ともかく焦った運転手、中央分離帯もない道路を、時速120kmで飛ばす、飛ばす。対向車線に思いっきり入って追い越しをかけ、あわや正面衝突、というところで、キューッとハンドルを切り、元の車線に戻る。一度脇道からバックで出てきたトラックにぶつかりそうになって、ほんと心臓が飛び出るかと思った。手に汗握るスリル、その辺のジェットコースターの比較ではない。結局、瀋陽駅にたどりついたのが18:01、汽車の改札は5分前に閉まるので、つまりは間に合わなかったのだ。ぼう然としていると、すぐに客引きが寄ってきて、「どこへ行くのか」と聞いてくる。「大連」と言うと、「大連行きのバスは、18:00が最終だから もうないよ」と言う。でも一応見に行こうとしたら、「バス停まで案内したら、 オレに10元の手数料が入るんだから、 あればオレが案内するけど、もうないんだよ」と言う。それでも一応確認しにバス停まで行ったら、18:40、20:00と、まだちゃんと大連行きのバスがあるではないか。素直に客引きの言葉を信じていたら、バスにも乗り損ねるところだった。大連行きのバスに無事乗り込み、シートが赤の合革張りになっているデラックスシートにもたれながら、「中国では人の言うことを素直に信じてはいけない」と、自分自身に再度言い聞かせていた。中国人は、「自分はそう思う」という程度で、責任なく言い切ってしまう癖がある気がする。それがたとえ善意の言葉であったとしても、後の結果を考えてくれているわけではないので、それを鵜呑みにして、あとでひどい目にあうのは自分だ。「大丈夫、間に合う」という言葉を聞いて安心してはならず、相手に任せ切るのではなく、自分で判断しなければならない。「バスはない」と言われても、自分の目で確認しなければ、真相は分からない。そんなことを思いながら、バスに揺られて4時間、夜10:30には無事、大連にたどり着いたのでした。