武漢、1000万人規模のPCR検査実施へ
武漢市は4月8日に都市封鎖が解除されましたが、5月9日、解除後初めて感染者が1人確認され、10日はさらに5人見つかりました。これを受けて、武漢市政府は5月14日、「全市におけるPCR検査の強化を無症状感染者スクリーニングの加速」に関する作業部会を開催し、「近く全市民を対象にPCR検査を実施し、 無症状感染者数をさらに徹底的に把握することで これを効果的にコントロールし、 全国民および全市民の安心につなげる」と発表しました。日本大使館からのメールによると、外国人も対象となるそうです。↓武漢市政府の発表(中国語)http://www.wuhan.gov.cn/sy/whyw/202005/t20200515_1319141.shtml発表では、流行病学の角度から見て、一度大きな流行が起こったその後に、新たな感染者や無症状感染者が全く出ないということはほぼありえないとしたうえで、最近、数例から十数例の無症状感染者が発見されていることに触れ、「これらの無症状感染者は全て隔離治療を行っているが、 なお社会不安を引き起こしている」として、「生産再開や商業再開、学校再開に安全で健康的な環境を作るために、 武漢市はすでに300万人のPCR検査を完了しているという基礎の上に、 PCR検査の範囲を広げ、無症状感染者のスクリーニングと収容治療に より力を注いでいく」と述べています。PCR検査は感染者・無症状感染者の早期発見・早期治療に有利であることはこれまでの実践で証明済みであるとして、これを新型コロナウイルス予防・コントロールの常態化における重要な手段と位置付けています。検査方法については、「市の検査機関はスタッフを派遣して業務トレーニングを行い、 安全な措置を取って、交差感染を防ぐ」としたうえで、具体的な検査の進め方について説明し、「市は各方面の検査リソースを調整し、検査方法を最適化し、 検査能力を高め、今回のスクリーニング実施をサポートする」とその決意を述べています。検査対象は1000万人規模となるようですが、今回の検査にかかる費用については、市と区が折半して負担するとしたうえで、市民に対し、自分と他人に対する責任ある態度を求め、積極的に今回の検査を受けるよう呼びかけています。今回の検査にかかる費用総計は約10億元(150億円)とも言われ、これだけの金額を市や区が負担できるということに驚きました。それにしても、ここまでの大規模スクリーニング検査は相当大変な気もしますが、ここまでして無症状感染者を洗い出し、完全に囲い込んでくれたら、その後の経済活動、学校再開などに安心をもたらしてくれそうですね。莫大な検査費用も手間も、それによって得られた安心によって、早期の経済活動、社会活動の正常化につながるなら、価値があるということかもしれません。しかし、それだけの検査を行うということは、それによって見つかった全ての無症状感染者を隔離治療する用意があるということなのでしょうか。いずれにしても、無症状感染者が検査を受けないで毎日あちこち移動して感染を拡大させる可能性を考えると、検査はしないよりするほうがよいという判断なのでしょうね。自宅待機してもらうだけでも、外を自由に行き来されるよりはいいですものね。武漢市の今後に注目したいと思います。