カテゴリ:中国文学・民話
中国の有名な歌手、「王菲」が歌っている
「明月幾時有?」という曲を知っていますか。 よく耳にするので、その素敵なメロディーは 頭に残っていて、カラオケで歌おうとすると、 歌詞がこれ、難しい。 夫に、 「これは古典だよ、君が理解するのは100年かかる」 と言われ、カラオケはあきらめていたこの曲の歌詞を、 家庭教師のZちゃんが教えてくれた。 これは宋代の蘇軾(蘇東坡)という人が書いた宋詞だそう。 水調歌頭 明月は何時お出ましになるのですか。 酒を手に空に問う。 天上の宮殿の暦は、今何年になるのだろう。 私も風に乗って天上に帰りたい。 しかし玉の御殿のような高いところは、 寒くて耐えられないだろう。 月光のもと、舞いを舞って地に映る影を遊ぶ、 なんて人間界らしいのだろう。 月光は朱色の楼閣をめぐり、虹色の窓をくぐり、 私を照らして眠れない。 恨みがあるわけでもあるまいに、 あなたはどうしていつも別離の時に丸いのか。 人には出会いと別れ、喜びと悲しみがあり、 月にはさやけき時と曇るとき、 丸い日もあれば欠けている日もある。 古来より完全というのは難きものだ。 ただ、人は久しく 千里のかなたより月光をめでることを望む。 (※以上、つばめの理解・・・) 水調歌頭 明月幾時有? 把酒問青天。 不知天上宮闕,今夕是何年。 我欲乗風帰去,又恐(王京)楼玉宇, 高処不勝寒。 起舞弄清影,何似在人間。 転朱閣,低綺戸,照無眠。 不応有恨,何事長向別時円? 人有悲歓離合,月有陰晴円缺, 此事古難全。 但愿人長久,千里共嬋娟。 つばめの理解により日本語に訳してしまうと、 やっぱり本物と遠くかけ離れてしまうが、 なんとなく雰囲気はつかめるかな。 私が一番好きなフレーズは、 「人有悲歓離合,月有陰晴円缺,此事古難全。」 という部分。文学の調べの美しさとともに、 人生の摂理を含む珠玉の詞たち。 これも宋詞だから、メロディーとともに歌われたはず。 美しき女神、月を描きながら、 人間である悲しさが伝わるような 含蓄を持つ詞の調べ。 中国人はこういう文学を常識として知っていて、 日常生活の中で頻繁に引用されるらしい。 やっぱり5000年の歴史の国、 文学も奥深く、 人間も悠久の歴史文化の薫陶を受けている。 中国人って、すごい。 日本人も、 「やっぱり『春はあけぼのだね。』」 とか、 「ああ、世の中『諸行無常』だね」 なんていうふうに、古典を引用することはあるかと思うが、 中国は故事成語から古典まで、引用の範囲と頻度が、 日本よりずっと多いような気がする。 やっぱり夫の言うように、 私が中国人みたいに中国文化を体にしみこませて 言葉を話せるようになるには、 100年以上はかかるようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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