ニーハオ中国

オリンピック開会式で、「歌唱祖国」を歌った少女が
実は口パクだった（別の少女の声だった）と分かったとき、
つばめは「ふうん」と思った。
演出ではありがちなことだよね、って
普通に受け止めたのだが、日本ではかなり
騒がれたみたいですね。

総指揮の張芸謀監督は芸術家として、
映像の美しさ、開会式典としての完成度の高さを
追求したにすぎず、そこに「だまそう」という
意図はなかっただろうし、演出で認められる範囲内だと
思ったいたようです。

日本でも口パク程度だったら
演出として結構あるんじゃないのー、なんて思いますが、
中国がやると、もともと日本人の中に
「どこまで本当か嘘か分からない信用できない国」
という中国イメージがあるために、
よりそれが助長されてしまう感じがありますね。

日本人が中国人を、「信用できない」と思うのは、
文化の違いもあると思います。
日本人は、「正直」なことを何より重視する傾向がありますが、
中国では「正直」がそれほど重視されておらず、
むしろ「ただの正直＝まぬけ」と人から思われがち。
間違いを犯しても「正直に」謝ったら許してあげようと思う
傾向がある日本人に対して、その後で何か結果が変わるので
なければ、「ただ正直に」謝るだけでは何の意味もない、
と考える中国人。
中国人は「正直」よりも、「効率」「賢さ」を
尊ぶ傾向があるように感じます。

同じく開会式で56民族の服装をした子供たちが
国旗を持ってポールまで行進する演出がありましたが、
この子供たちも実は少数民族ではなく
漢族だったとかなんとか騒がれたようですが、
夫に言わせると、

「少数民族の服を着た子達は
中国の56の民族を象徴しているだけで、
実際に56民族の子供たちを選抜して連れてくる
なんてことをしたら、それこそバカだと思われる」

との話。いちいち少数民族の子供を探し回るなんて、
そんな効率の悪いことをする必要性がないということらしい。

日本人のつばめからすると、いまいち納得できない感じがして、

「外国人は『民族によって顔つきが違うのかな』なんて
興味を持って見てるかもしれないじゃん」

と反論したが、夫としては
そのことがわざわざ少数民族を探しに行くほどの
大きな理由とは思われないらしく、納得しかねる様子。
中国人はより効率を重視し、大局に影響を与えないことに、
そこまでこだわることはないと思うものらしい。

ま、たいしたことないと言えばたいしたことがない気も
するのだけど、「偽物」というのは信用にかかわる
大問題じゃないの、と思ったりもするつばめ。

その一方、少数民族が映った画面の下に、

「これは中国が多民族によって構成されていることを
象徴しているに過ぎず、民族服を着ている子供が
実際にその民族の子供であるとは限りません」

なんて馬鹿正直な字幕が出たら、
確かに演出も興ざめかもなあ、とも思ったり。
どこまでが「演出」で、どこまでが「だまし」なのかを
線引きするのは難しいところですね。

つばめも日本人なので、
中国人の「善悪の基準」「正直と嘘の認識の仕方」が
いまいちよく分からない部分もあるのですが、
だからといって、「中国人はみんな嘘つきで信用ならない」
と決め付けてしまうのは、ちょっとどうなのかな、
と夫とのやり取りを通じて思ったことでした。
国によって文化や考え方の背景も違いますし、
中国は中国で独自の判断基準があるのかもしれません。

中国の歴史背景からして、これまで「信用」という
ことがあまり重視されておらず、
人々の中にも「信用」を重視する意識も
根付いていなかったのでしょうが、
中国もこれから国際化するにしたがって、
あちこちから批判も浴びながら、
だんだんと国際社会に通用する方向に
変わっていくのではないでしょうか。

明日はパラリンピックの閉会式、
どんな演出が繰り広げられるのか、楽しみです。

↓オリンピック開会式での林妙可ちゃん