ニーハオ中国

中華人民共和国国歌　―義勇軍行進曲―

立ち上がれ！奴隷になることを望まない人々よ！
我々の血肉をもって我々の新しい長城を築こう！
中華民族に最大の危機が到来した時、
一人一人が最後の雄たけびを上げるのだ！
立ち上がれ！立ち上がれ！立ち上がれ！
我々全てが心をひとつにし、
敵の砲火をくぐり抜け、前進！
敵の砲火をくぐり抜け、前進！
前進！前進！前進進！


起来！不愿作奴隷的人們！
把我們的血肉，築成我們新的長城！
中華民族到了最危険的時候，
毎个人被迫着発出最後的吼声！
起来！起来！起来！
我們万衆一心
冒着敵人的炮火，前進！
冒着敵人的炮火，前進！
前進！前進！前進進！

1935年に「風雲儿女」という抗日映画の主題歌として
作詞・作曲される。
1949年中華人民共和国が成立した時、
適当な国歌がなかったので、この曲が臨時の国歌に選ばれ、
その後正式な国歌として定着したらしい。

つばめ、オリンピック・パラリンピックで
何度もこの国歌を耳にするうち、
ふと、どんな歌詞なんだろう、と知りたくなり調べてみた。
勢いのある勇ましい曲だなあ、とは思っていたが、
軍隊行進曲で、こんな過激な歌詞だったとは。
しかも日本とこんなにゆかりの深い歌だったとは。
なんかすごく複雑な気分です。

「中国って、軍国だったんだね。
国歌も軍歌みたいだし、実質人民解放軍が
国家を統治しているじゃない。」

と夫に言うと、

「そういう言い方はしないけどね」

だって。でも実質的には軍国なのだなあ、と思った。
軍国だからといって、一概に全部悪いとは
つばめは思わないけど。。。

自分が日本人だということを抜きにして考えれば、
つばめはこの歌の勇ましいメロディーが結構好きだ。
特に、「立ち上がれ！立ち上がれ！立ち上がれ！」
というところは、歌いながら気持ちが高揚するし、
「前進、前進、前進進！」というところは、
中国が発展に向かって突き進む姿と重なり、
希望の力が沸いてくるようだ。

しかし、奴隷になるな、雄たけびを上げよ、
敵の砲火を恐れず突き進め、かぁ。。。
やっぱり過激だ。
こんな歌を普通に歌う中国国民の精神構造は、
日本人とは全く違うのでは、と思ってしまう。
歩んできた歴史が全然違うから、
仕方がないとは思うのだけど。。。

日本の国歌なんて、
苔がむすまで末長く天皇の御世が続くように、とか、
軍歌でも桜のように潔く散ろうとか、
概して発想が植物的であるが、
中国は、諸外国に侵略され、
踏みつけられた屈辱の歴史があるから、
やられる前に攻撃に出ないと、
という発想になるのかもしれない。
中国人にとって自国の平安というのは、
おとなしくしていたら手に入るというものではなく、
「敵」と戦って勝ち取るべきものなのだ。

しかし、この曲をあえて国歌に選んだのは、
抗日の精神を、日本への恨みを、永遠に忘れないようにするため？
そう思うとなんだか悲しくなってしまった。
夫によると、

「そういう意味じゃなくて、中国は諸外国から侵略された
　歴史があるから、その当時戦った精神を忘れないように、
　ということだよ。僕らの年代以降は、この国歌のいわれを
知らない子も多いし、すでに映画の元の意味を離れてると思う」

だって。どこまでどうなのか分からないけど。。。

「諸外国から侵略された屈辱の歴史を忘れるな。
奴隷になりたくなければ、我々は強くならなければならない。
自国のために心をひとつにして立ち上がらなければならない。
敵を恐れず前進し続けなければならないのだ！」

という強烈なメッセージ。

チビちゃんが生まれたら、この勇ましい国歌を
歌うことになるのかな、なんて思いつつ、
オリンピック・パラリンピックで中国国歌が流れてくると、
気分を高揚させるいい歌だなあ、という思いと、
「抗日」国歌かあ、という思いが交錯して、
複雑な思いになるつばめなのであった。