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48 Rue du Cherche Midi

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2006年03月30日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
ところで、皆さん。
深夜、タクシーに乗られたりします?
私は、仕事で結構、深夜タクシーに乗ることがあるのですが、
先日、不思議な体験をしました。


その日の私は、連日の徹夜ですっかり疲れ切っていました。
終電もとっくに終わっていて、
仕方なく仕事先から自宅に帰るのに、
タクシーを捕まえようと
最後の力を振り絞り手をあげていました。


いつもだと、手をあげたら、深夜でも
数十秒で目の前にタクシーが止まるような、
かなり交通量の多い場所なのに、
その日に限って、何分たってもタクシーが捕まらなかったのです。


綾「ついてないなぁ、はぁ……」
とボーっとしていると、
一台の個人タクシーが目の前に止まった。
後部座席のドアが開き、中から運転手が、
運「乗ります?」
と、言ってきました。


手をあげる力さえ失っていたけど、
一刻も早く家路に着きたかった私は、
どうやら知らぬ間に、道路の真ん中近くまで
出てきてしまっていたようでした。


綾「あ、乗ります……」
なだれ込むように、後部座席に乗り込みました。
タクシーは、私がシートに身体をうずめると同時に、
ほとんど音もなくスーッと発車しました。
『ああ、こんなときは個人タクシーに限るよなぁ、
車の乗り心地もいいし、個人タクシーはベテランだから
運転も上手いし……』
なんて、考えているうちに、疲れが頂点に達していた私は、
そのまま眠り込んでしまったのです。


次に、気がついたのは、
家まであと5分くらいというところだったでしょうか。
目が覚めた私は、何かいつもと違うことに気がつきました。
『あれ? うそ、私、行き先伝えてない』
綾「あの、運転手さん、行き先……」
運「大丈夫ですよ、分かってますから」
『え? だって、言ってない、私……』


まだ夢でも見ているのかと、小さく頭を振ってみました。
『夢じゃない、現実だ。確かに私は起きてる』
すると、運転手は、バックミラー越しに、
運「実は、私、“三つ目族”の子孫なんですよ。
お客さんが乗る前から行き先、分かってました。
三つ目の目で人の心が読めるんですよ。あはは」
綾「え?」
私は、なんて返して良いか分からず、黙り込んでしまいました。
なんて気持ちの悪いことを言う人なんだろう、
そういうことを客に言って怖がらせるなんて。
しかも、こんな夜遅くに……。
『よおし、行けるもんなら行ってみろ』と
私は、行き先を伝えないことにしました。


本当に気持ち悪かったのは、そこからでした。
その運転手は、それから一言も口をきかず、
私の家までの道順を少しも間違えずに、
私の家の前にタクシーをとめたのです。


運「\4320です」
私は\5000札を運転手に渡しました。
そのとき、私はおそるおそる運転手の顔を見てみました。
おでこには目ではないけど、
確かに深いシワのような傷跡のようなものが見うけられました。
運転手は、笑って言いました。
運「さっきの三つ目の話は、冗談ですよ。ごめんなさいね。
前にも一度、お客さんをあそこでひろったんですよ。
あんまりお疲れのようだったから、声かけづらくてね。
こんな時間だから、家に帰るんだろうなって思って。
よかった間違ってなくて」


おつりを受け取った私は、無言でタクシーを降りました。
それでも、どうにもこうにも、腑に落ちず、
部屋に入るなり、貰った領収書と同じ車両番号が
印刷されている過去の領収書を探し始めました。
本当に、あの三つ目運転手が
2度目だったのかを調べるために。
もう、それがはっきりするまで、眠れないほど
私は興奮していたのです。


……何度も何度も調べたが、同じ車両番号が印刷された
領収書は見つかりませんでした。
『やっぱり、あの運転手は、三つ目族だったのだろうか……』
そう思えたころには、
外はすっかり明るくなっていました……。


















皆様、お付き合いありがとうございました。
綾乃の“本日の妄想”でした。
あ~、妄想ってなんて楽しいんでしょ。
チャン、チャンっ!





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最終更新日  2006年03月30日 03時44分42秒
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