空梅雨と大雨
▲「雨よ降れ降れ」と雨ごいしていたら、一転して大雨。「一度にどかっと降るのでは」という危(き)惧(ぐ)が的中した。「日本は温帯気候から亜熱帯気候になったのでは」と思うほどの激しさだ▲中国地方が四国、近畿などと一緒に梅雨入りしたのは六月十一日。翌日から月末まで西日本はほとんど雨が降らず、空梅雨かと心配していた。香川県では夜間断水。中国地方でも渇水の危機が広がっていた▲ところが、七月に入って途端の大雨である。乾ききっていた地も吸収できず、床上や床下まで浸水。香川、愛媛県ではそれぞれ死者が出た。山口県でも柳井市では三日間で四〇〇ミリの雨量を記録。周防大島町では土砂崩れで、孤立する地区が相次いだ▲近年の特徴は、局地的な集中豪雨が増えていることである。死者が百人を超えた一九八三年七月の山陰豪雨では、益田市で時間雨量九〇ミリを記録。当時、九〇ミリといえば中国地方の観測史上例のない、想像を絶する雨だった。災害をルポした連載のタイトルも「九〇ミリの恐怖」▲しかし、最近では一〇〇ミリを超える集中豪雨も珍しくなくなっている。実際、一日の松江市付近の時間雨量は一〇〇ミリ程度だった。もはや夕立というより、亜熱帯地方のスコールを思わせる▲専門家によれば、異常気象の原因は地球温暖化に行き着く。地球が怒っているのかもしれない温暖化の対策には、省エネが一番の近道。クールビズもささやかなその一つである。 '05/7/5 中国新聞 天風禄より