長梅雨
'06/7/25 中国新聞 天風禄より 七月も残り一週間。中国地方の梅雨明けは平年が二十日ごろだが、いまのところ兆しがない。列島にからみついたような梅雨前線が上がったり、下がったり。そのたびに、山陰や九州南部などで豪雨災害が広がる▲豪雨で忘れられないのが一九七二(昭和四十七)年の「47・7豪雨」。江の川のはんらんなどで記録的な大災害となった。古いスクラップ帳には、すっぽり水につかった三次市の市街地が写真に写っている。建設省(当時)の観測では、五日間で記録した同市の雨量は五五〇ミリ。大変な雨である▲ところが、宮崎県えびのと鹿児島県紫尾山の雨は何ともすさまじい。十八日の降り始めからの総雨量は一二〇〇ミリを超えた、というのである。被災地のお年寄りが「こんな雨は生まれて初めて」と嘆いていたのもうなずける▲気象庁は二十日、ホームページで「降水の状況」を開設した。二十四日午後四時二十分のデータを見ると、「72時間降水量」の上位はすべて九州に集中している。それも、鹿児島、宮崎、熊本の三県が交互に並ぶ▲温暖化が進むと、現在に比べて梅雨が活発で長引く年が多くなりそう―横浜市にある「地球シミュレーター」という世界最大級のコンピューターを使った予測だ。しかも、集中豪雨や台風によって、洪水の危険性が増える心配があるという▲長梅雨は地球の警鐘のように見えるが、温暖化の防止対策は遅々として進まない。「いまそこにある危機」なのに。