弟の部屋に朝帰り、風呂。
入谷の万人力で油そばを一緒に食べたら、
部屋に戻ってテレビを見た。
江ノ島土産だという大仏のべっこう飴を家族ぶん持たせてくれた。
やさしい。
流しの下の片付け方が、母に似ていると言われる。
妙な心持ちがした。
でも何となく、母の気持ちがわかる。
大事な家族のためなら、お金も労力も厭わないのだ。
梨を買ったのに手をつけていないから
剥いて切ってどんぶりに盛るとまたたくまに平らげた。
だめだ。
完全にここは私と同じたちをしている。
荷物を鞄に詰め直して、忘れもの点検をして、
マンションの下でタクシーが捕まるまで見送ってもらう。
窓越しに何度か手を振りあって、
寂しいな、寂しいなと勝手にしんみりしていたら、
ものの1分も走らないうちにスーツ地のパンツを忘れたことに気がついた。
とりあえず保管しておいてとメールしたあと、
弟がくれたあずきキャラメルというものを食べた。
ざらざらして不味かった。
次の宿主が「お昼を食べずに待ってます」とメールしてきたので
「ごめんなさい。軽く済ませました」と返す。
結婚式はメインイベントだけど、
いちばん会いたいのはこの宿主=恋人なのである。
15時ちかくになったので、朝用のパンを買ってゆく。
大きなソファーの向こうから覗く顔は、変わっていない。
声も、匂いも。
夕飯はどうしようかという話が堂々巡りしだしたので
とりあえずお腹をすかせに自転車に乗ることにした。
30分は走って、国分寺まで。
キンモクセイの匂いがふわりと泳いで来た。
府中の「terakoya」をを横目にひたすら漕いだ。
大学へ入るのが決まったとき、叔父がごちそうしてくれた懐かしい店。
日本庭園を抱えるフレンチレストランだ。
前回は昇れなかった坂が昇れたら、
褒めてもらえて嬉しかった。
行き先は分からなくても、この人に着いて走るとき私には不安も迷いもない。
そして着いた。
国分寺 とねりこ。
ソルティドッグみたいな南風荘ビールを二杯と、コーヒー泡盛を飲む。
柿の入った秋のサラダと、オクラも入ったピクルスと、
それからトルコ風肉団子を食べる。
ここは、「福山 暗澹倶楽部」に匹敵する食べ物屋だ。
何が食べたい?と聞かれて「おいしいもの」と答えられた時、
この2軒ならまず間違いなくおいしいものが食べられる。
家に戻ってお風呂に入って、マッサージをしてあげる。
そして一緒に眠る。
体ごと安心できる、眠る前から夢みたいな眠りだった。
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Last updated
2009/09/12 11:40:56 PM
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