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バブルの頃に建てられた一般庶民向けのマンション、
つまり今から見るとどこかしこと古くさいマンション、の 5階だか6階だかの一室に越すことになった。 いや、まだ荷物もそんなには入れていないし、 知らないおじさんに部屋の作りについて色々案内してもらってばかりだったから 本格的に越すかどうかは決定していないのかもしれない。 心証は、悪い。 マンションの廊下に面して、一室なのに扉がいくつもある。 なぜかというと、この部屋がCの字をしたマンションを、 一階分ぐるりと囲むような変則的な形をしていたり、 玄関の隣にはなぜか浴室から廊下に抜けるドアがあったりするからだ。 玄関のドアは焦げ茶色で重たい感じがするのに、 浴室から抜けるドアはまるで電気系統を収めているように白く頼りない。 玄関をあけて進むとまず広い広い広間がある。 合宿所みたいにただの板敷きで、広いのにわびしい。 それを進むと今度は浴室がある。 タイル敷きで、浴室の床に入浴スペースが凹んで掘ってある感じ。 やたらと足の裏がざらざらする。 それをまた、クリーム色の不衛生そうなビニールのカーテンをめくって進むと 部屋がある。こちらはまだ小ぶりで比較的、過ごしやすそうだ。 廊下に面してトイレ。 そこで部屋は終わりに思えるのだが、 実は広間から先に行く道がもうひとつあって、 そこを通ると無駄に広すぎる、閉業した銭湯みたいな風呂場。 遠い高い壁の天井際に、黄緑色の蛍光色をしたスライムのような粘着質の苔。 ああ、これは昔に見た動物園の夢で私たちを病気にしたやつだ、と思い、 ホースから水を出してクチを指で狭めて、そいつを遠くから剥がしてやる。 足の裏がざらざらとして気持ち悪い。 ふと見ると、ベランダどころではないだだっぴろい外のスペースに たっぷり泳げる25メートルのプールまである。 こちらは水が殆ど抜けていて、そして土汚れが目立つ。 さらに、広間に直接面した扉の向こうには もうひとつのトイレがあるが、便器が設置されていない。 ただがさりと置いてあるだけだ。部品ごとに。 あまりに広すぎるし、 使い勝手が悪そうだし、 それにどこかみすぼらしいし 気味が悪くも在るので 断ろうと思いながらも みんなでどうにかすれば、最高の部屋になるかもしれない 等と根拠もない幻想をどこか捨てきれずに居て、 「あのプールを一回満タンにするには、 水道代がいくらほどかかるのでしょうか」なんて 具体的な積極的な質問をおじさんに投げていた。 あたりは夜。 廊下の電球はうすぐらい黄色だった。 この部屋も、うすぐらい。 蛍光灯なのか白熱灯なのかわからない。 真っ白な光ではない。 かといって温かい光でもない。 2階建てのアパートの角部屋。 3階に風呂がある、木造の日本家屋。 ここに1つ抜けがある。ど忘れした。 線路に面したマンションの清潔な一室。 そしてここ。 夢の中ではこうして稀に引っ越しをしている。 だが、この部屋にはやはり、越したくない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/04/01 01:39:48 AM
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