父の日/自転車/新しいバッグ
父の日。夕食は鯛のあら煮と鱧の酢味噌和え。伯母はビールを1ダース。母はモールスキンのノートと冷感スプレーと、400mlの特大プッチンプリンと、ルロックルのケーキ。私はロジクールのマウス(ズームと横スクロールができるやつ)。誕生日みたい!と喜ぶ父の顔が若々しく、嬉しかった。今年はこういう行事に直接参加できる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー自転車に乗って、1時間半くらいぶらぶらと探検した。坂がない道を選んで、たらりたらりと進んで行く。目的地はあるようで無く、迷った気がしたら慌てずに引き返す。自転車に乗ることは、そうして自分の町を探索することは、記憶の恋人につながってゆく行為だ。雨の近づく肌寒い曇り空の下、汗ばみながら家に戻ると、待ちかねていたかのように雨がざあっと勢いづいた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー取り置きしておいたバッグを買った。セルヴィッジのクラッチバッグだ。枝豆のような鮮やかな緑色に染められた豚革を、エナメルでコーティングしてある。飾りであしらわれたボタンも、大きな豆か、大きなマーブルチョコレイトのよう。見た目の可愛さの割に値段が可愛くなかったけれどどうしても欲しくて買ってしまった。おでかけするのが仕事、だった今までに比べて、おでかけの機会は減っているけれど、どうにかしてこの子を活躍させてあげたいなと思う。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー電話から目を離した隙に恋人から電話があった。しばらくして折り返すと、留守番電話に切り替わる寸前に出る。出ないなと思って、出かけて帰って来たら鳴ってるんだもん、という。そういう偶然があるから、なんとなく諦めるに忍びないのだ。縁、というものの有る無しは、どうしたら分かるのだろう。微熱が続いていることを知らせる。お互いの説明書について話す。スガアツコさんについて。自転車屋さんについて。のほほんとしなさいとまたもや諭される。電話の向こうで水音がするのでお風呂?と尋ねたら、君にもらったコーヒーメイカーを洗っている、という。これ、どうしても注ぐときにこぼれちゃうんだよね、でも君はこぼさずに注いでいたよね、不思議だ、と笑う。そういう思い出話は生々しすぎて、苦笑いするしかなかった。