輓馬映画と沖縄料理
仕事で、試写会に行ってきました。ほのぼのとしたいい映画でした。左隣の人の口臭が尋常では無かったことと、後ろの人が脚を組み換えたりゆすったりするのが好きだったことと、リーフレットの裏側の宣伝がやたら「泣き」を訴えていたことを除けば。感動するのはもちろんしたいけれど、泣ければいいってもんじゃないとも思うんだ。泣きました、泣きました、ってそんなん、どんだけのものを期待してしまうのよ。それでも最近はあたしも学ぶことを覚え、泣きました、って騒いでんのだれ、って冷静に見るようになった。泣きました泣きました、ってほんと、莫迦のひとつ覚えみたいに言ってんじゃないわよ。そういう宣伝の仕方が、しずかにしみじみと優しい味わいを、どんだけぶちこわしているか想像ができないの、なんてうるさいことを言いたくなったりもしてしまうよ。刺激の強いもの、目新しいもの、とりあえず泣けるもの、センセーショナルなもの、どれだれ目に付くかの競いあいみたいな宣伝は、害でしかないと思う。誇大広告にだまされた、というのとはちょっと違う。映画はよかったけれど、広告は間違い且つ嘘だった。映画ごとに合った、告知の仕方があるんじゃないかな。宣伝ばかりがひとりあるきをして、勝手に勝負しあってる感じ。もったいないよ。あぁあ。試写会の帰り、沖縄料理屋さんに寄る。弟をおもいだした。沖縄に住む弟がいるだけで、けっこう食べ物に詳しくなってんな、あたし、と思った。なんだかんだいったけど、映画「雪に願うこと」はけっこう好きです。静かな映画だし、好みも別れるし、派手に泣くような映画じゃ無いけれど、朴訥さに、ほっとします。東京の映画祭の4部門で賞を穫ったということは、別に、泣ける泣けないの話じゃないと思います。人間というものに関して。「ばかだな」「単純だな」「捨てたもんじゃ無いな」という、三つの味が楽しめる映画でした。これが、あたしなりの感想です。