雪月花

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• すっぱりと

  すっぱりと別れてしまうし、すっぱりと辞めてしまう。あたしは、いつもそんなだ。もっと面白いもの、もっといいもの、それを見つけたなら容赦などなく、そっちにぷいっと飛びついて行ってしまう。ただそれは、心の話。実際のところは、そこまで簡単には行かない。なんだか右往左往して、情やら惰性やらで動きがとれない。これだ、って信じていられるならいい。あたしは、ただ、味見を繰り返してるだけかも。本当は、それほどお腹が空いてさえもないのかも。全く別の何かなのかも。ほんとのところ、欲しいものは。だからどれもこれも、違って見えるんだ。

  2005/11/29

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• 熱烈イニシアチブ

  いつもは　気合＞体　なんだけど、たまにね　気合＜体　になるのよ。ああ、この体をこいつには任しとけない、と、あたしの体が強制的にイニシアチブを取りはじめる。サインは熱。わかりました、ごめんなさい、以後気をつけます、もうしません。そうやって謝って降参しても、こいつは口ばっかりだと最近は、なかなか許してもらえない。うう。

  2005/11/28

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• だんだんだうん

  だんだんだうん。どんどんどうん。よるがあけるよ。またしくじった。３日眠らないと、四肢がびりびりする。きのうはねむった。ねむりは毎日のことなはずなんだけど。

  2005/11/27

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• お泊まり

  誰かの家に泊まるということが、ほとんどないあたし。夜明かしをするなら外でだし、友だちを部屋に泊めるほうが断然多い。引っ越したばかりだというその部屋は、天井が高くて、白くて、ひとの部屋が苦手なあたしも不思議と、何にも抵抗なくのんびりできた。それはひとえに部屋の主のおかげ。ありがとうね。あなたはとても可愛いのに、汚い話もできるから嬉しい。帰り道、地下鉄のぬるい空気がにごってる。

  2005/11/26

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• ＆とアゲハ

  今夜は、＆でごはんを食べて、渋谷でお酒を飲んで、アゲハで５時まで遊びました。＆でごはんを食べながら、この人と二人で夜にごはんを食べに出かけるのは、実は初めてじゃないかと思いました。うそだあ、と思うくらいにそれはそれは意外でした。本をプレゼントして、本を借りました。全く、本づくしです。渋谷から新木場までのお迎えのバスは、あったかかったけど当然知らない人だらけで、でも若い人がぎゅうぎゅうで、知らない人と修学旅行行くみたいでした。新木場は何にもなくて、しかも夜で、逆に気持ちよかったです。こんな風に書いたらまるで小学生。まるで、夏休みの絵日記。小学生の夏休み。あんな時間、きっと、もう無い。無防備に時間を浴び去るには、色々なものを見てしまい過ぎる。

  2005/11/25

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• 百も承知

  頭の中にワールドがある。分かってほしいと思っていて、分かってもらえるはずがないとも思っている。体の中が言葉でいっぱいである。これを出してしまいたいと思っていて、これは出してしまいたくないとも思っている。出てきたものは、なかなか本物には近付かない。出したときには、何かを少し諦めてもいる。湧いているものではあるけれど、けっして絞るべき種類のものではないんだ。この全てを、言葉にする前に伝えてしまえる、そんな人が今そばにいないことがつまらない。ただ愛や恋とかいう、それだけではなくて。正直、こわいんだ。言葉でお金をもうけること。書いて書いて書いて、その後にまだ、あたしの中にはあたしのためだけの言葉が、残っているのかなって。久々に来た、山月記デイズ。わかってる。自分をどっかで過大評価してたいのと、言葉の枯渇恐怖症なのと。贅沢は百も承知。

  2005/11/24

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• 現実的になる理由

  「女のひとって現実的だよね」そう言われても、ね。現実的と言われる理由。例えばこれが１０年続いて、みたいに先のことを考えたり、収入とか家族とかいった実生活のことを考えたり。現実的になる理由。恐いもの知らずでいられればよかったけれど、失いたくないと思い浮かぶものが増えてしまったから。夢物語のあら探しをしたいが為に、現実的にものを考えてるわけじゃない。できることなら夢物語の中に、身ひとつで飛び込んでいきたい。なんでここから去れないのか、どんどんわからなくなってくる。現実的に考えれば考えるほどあたしの場合、夢物語に飛び込むことに障害は特に無く、それがあたしを混乱させているんだ。もしかしたら。夢物語のあら探しをしようとして、現実的にものを考えているのかな。そうすれば、理由のない臆病さを認めずに居られるから。いいえ。この臆病さの理由を見つけたいから。そして、ただの怠惰ではないと納得したいから。ああもう。考えれば考えるほどわかんなくなってくる。ただ、理屈抜きにあたしが今感じているのは、「今じゃない」ってこと。それは、確か。だと思う。

  2005/11/23

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• あきっぽ。(NEWS有）

  なかなか器用で、なかなか飽きっぽい。またひとつ自分がちょっとわかりました。「やりたい」ことと、「やってみたい」ことは違うのね。結構すぐに、気が済んじゃうから困りもん。そう考えるとこのブログが続いてるの、ほぼ奇跡のような気がしてくるわ。そうそう、MIXI 始めました。やってる方、find me です。ニックネームは「はないき」。楽天でMIXIのお知らせはできるけど、MIXIで楽天のお知らせはまだ抵抗有るからしませんwここは、偶然の場所のまま、残しときたいんです。てなわけで。飽きっぽいあたしのMIXI、いつまで続くでしょ。

  2005/11/22

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• でん、ちぎれ

  熱を出して、体温計をともだちにしていたら、体温計の電池が先に切れて、一気にテンション下がりました。テンションが下がっても熱が下がりません。でも負けません。このところとみに、べたべたしたのがだめになってきたよう。おんなのこってめんどくさいよう。コーヒーメーカーで、紅茶をいれることができると分かりました。ちょっとうれしい。

  2005/11/21

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• 川があればいいのに

  そんな曲を聴いてる。楽しいはずの長電話が、幸せなだけに辛くなって、切ない程度で済むはずの歌が、血が出るくらい痛くて困ってしまう。きっといつか。それを約束だといえるのだろうか。約束などできないまま、確信めいたものだけを頼りに、あたしたちの距離は変わらないまま。大陸同士が綱引きをすればいい。そう言って笑った後であなたはいう。きっと俺たちもそうなんだろうな。「出会っちゃった系」だよ。そう言って笑った後であたしは言う。きっとものすごくラッキーなことなんだよ。こんなに「会いたい」と言い合ったのは、思い返してみれば初めてのことだった。どんどん素直になる。ジョニ・ミッチェルはまだ歌ってる。「川があればいいのに」。それを聞きながらあたしは思う。あたしは川どころじゃ済まないよ。

  2005/11/20

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• 知恵の輪

  マイブームが知恵の輪って、そんなにおかしいことでしょか。けっこうはまるんだけどなあ。あの、もつれたかたい金属が、嘘みたいにするっと解決する快感。もうしばらくはまってるんだろな。だって、すごいと思わない？金属がほどけるんだよ？そりゃまあ、あれよ、たしかにどっちかっていえば地味ですけど。

  2005/11/19

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• 女の子と眠る

  ４人もの人間があたしの部屋に泊まっていった。みんないい年なので体も十分に大きくて、予想以上に狭かった。女の子とベッドを半分こした。女の子とひとつふとんで眠るなんてこと、考えてみれば生まれてはじめてで、なんだかけっこう面白かった。女の子が横ですやすや眠っているのは、なかなか悪くない感じだった。難しい顔をして眠る人を見ると、あたしはいつも悲しくなってしまう。あたしはどんな顔で眠っているんだろう。とにかく、女の子というのはかわいいんだね。男からすればまたぜんぜん違うのだろうけれど、女の子が隣で眠っているのはいいものだった。何も考えずに誰かとくっついて眠るのは、あたしをとっても安心させた。それに、女の子はいいにおいがする。

  2005/11/18

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• ぶっとんでなんかない

  ついにそのときが来た。あたしは「ぶっとんでる」んだってさ。こんなにおとなしくて常識もあって、きちんとした口が利けて善良なあたしが。そんでもってあたしをそう称した人は、あたしにまた会いたがってるんだってさ。

  2005/11/17

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• お前なんか嫌いだ

  　お前なんか嫌いだ　だいっ嫌いだ　ぜったいに好きになんてならないし　金輪際顔も見たくない　見たいのは親の顔ぐらいなもんだ　けっそのくらい言ってくれる人に出会ってみたい今日この頃です。腹割った仲の悪さとか、攻撃的なほどの相容れなさを体験したいよ。近頃のあたしは、ぜんぜん激しくない。だから、おとといから眠れない。アリーマクビールを見まくって夜が明けて、朝からお風呂に入ってのぼせて、髪を乾かしてぼうっとして出勤時間。知り合う人々があたしを好きになる。よくも知らないままなんとなく好きになる。それがそろそろ耐えられない。どんどん人当たりがよくなっていく。しかも、口の悪さや注意散漫なところまでが、あたしへの興味を駆り立てる要因になってるなんて。どうすりゃいいわけ。あたしは、あたしを好きだと言ってのける人こそが、信じられる人な様な気がしていたけれど、いや、あたしを好きになってくれる人たちを信じたいのに、あたしを好きだというだけでその人が信じられなくなるこのごろ。ブルータス、お前もか。言ってみりゃそんな感じなわけよ。ちょっとあれだな。疲れてんなあ。

  2005/11/16

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• 母の見た夢

  （あたしの名前を■としよう。）11/15(火)　8:49送信者：母タイトル：夢＞おはよう。ゆうべ■の夢を見ました。　電話したら風邪かなんかでひどい声でしんどそうでした。　それで気になったので様子伺いのメールです。　いかがですか？11/15(火)　13:51送信者：■タイトル：Re:夢＞夢を見てくれてありがとう。　確かに寒くてばたばたしているけれど、　今のところ風邪はひいてません。…（以下略）こんなメールのやり取りをした。おかげで、今日はずっと少しあったかかった。あたしの夢を見てくれたんだな。そこで風邪ひいてたから気にしてくれたんだな。今もまだ、あったかい気持ちのままだよ。ありがとう。ほんとうに、ありがとう。

  2005/11/15

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• 成長する私

  私は成長する。もとい、成長していっている。最近、できることが増えた。今日なんて、トイレのタンクをひとりで直せたし、蛍光灯も取り替えられたし、部屋の入り口にカーテンをかける棒を付けられた。生ゴミも恐れずに片付けられるし、お風呂場の排水溝の湯垢にだって対処できる。下の階に入った新しい人ともきちんと挨拶ができるし、得意では無いけれど朝もひとりで起きられる。季節は過ぎてしまったけれど浴衣もひとりで着られる。ヒールを履いても足が負けなくなったし、頑張れば知らない人とだってちゃんと話ができる。乾電池の捨てかただって立派なものだし、飲みたいコーヒーをちゃんと注文できる。しかも、喫煙席の場所をきちんと尋ねてから。ああ、ものすごく、大人だ。自分で惚れ惚れしてしまう。こんなに成長しているなんて。もっとすごいのは、あんまり道に迷わなくなったことだ。このまま、手がかからない大人になってやる。気付けば、親の仇みたいにそう考えている時がある。

  2005/11/14

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• ホットミルクティー

  朝焼け。ホットミルクティーのボトル。内側だけは温かい手。吐く白い息。友人を見送ってバスに乗る。６時半なのにまだ明けきらない朝。こうやってことしも、冬が始まる。冬の始まりを感じた朝だった。清潔で、確かな朝。冬の好きなところは、きちんとしているところだ。寒さとか、何もかもが。

  2005/11/13

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• あねご冥利

  姉御扱いをされる。兄貴扱いも経験がある。姉御と兄貴。やっぱり姉御のほうがいいなあ。それって結局、究極の「女扱い」だと思うんだよな。たまにはさ、そうやって、体張って代わりに怒ってほしい時もあるんだよね。前提として、守る、と思ってくれてることが、結構じんと来たりもするんだよね。筋の通った不器用な、男臭い古臭い輩でいてください。そしてこれからも、よろしく。出来の悪い、よわっちい姉御だけどね。

  2005/11/12

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• 両手に。

  仕事の後、友人と会う。明日合う予定にしていたのだけれど、今夜も会えるじゃない、ってことで。綺麗になった品川で、一杯。丑三つ時に電話をしては、愚にも付かない話を聞いてもらっている。それでも何だかんだで、会うのは２年ぶり。その彼の兄というのもあたしの友人で、あたしの両隣りにはその兄弟が揃った。それでも、両手に花、とはいかないのが良いところ。他愛無い話で、一時間あまり。片方とは明日も会う約束を、片方とはまたそのうちという言葉を、取り交わしてあたしはひとりに戻る。ひとりじゃない。だけどひとり。そのくらいがちょうどいいんだ、きっと、今のあたしには。

  2005/11/11

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• 予約して

  困ってしまいそうだ。しかも、どちらかといえば前向きに。きっといつか海を渡る。そんな気がしている。まだ少し先だろうけれど、あたしは約束さえしたいくらいになっている。あんなに嫌いだった約束というものさえ、してもいいかもしれない、気になっている。約束、というのかな。でないとあなたの予言はまた見事に的中して、あたしはもう２，３度莫迦を繰り返してしまうよ。どのみち深入りできないから長続きしないことは、火を見るより明らかだけれど。要は、あたしをきちんと予約しておいて欲しいんだ。ずっとずっと、見えないくらいの先の先まで。

  2005/11/10

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• 小娘の愚痴

  そう題して書いてあった６つの、何というか比較的本音に近いことばたち。読み返して思うのは、言葉がなまものだということ。思い出すきっかけにはなっても、時は確実に経つことを感じてあたしは安心している。今夜は、可愛い女の子たちとご飯を食べた。一緒に、同じセクションでかつてサックスを吹いていた。ああ、この子たちもそろそろ引退なのか、そう思うと時間が早いのか遅いのかわからなくなる。けれど、時間は確実に流れていることを思い出す。時間は別に優しいわけでも、非情なわけでもない。ただ、過ぎていくだけだ。太宰を借りれば、「ただ、いっさいはすぎてゆきます」だ。時間が流れていること、それを知っているだけで、あたしは幾分落ち着きを取り戻せる。

  2005/11/09

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• delicious night

  生まれて初めてインタビュアーをした。相手はそれこそ偉大な人で、興味は尽きない。その名を、リッチー・コールという。かのバディ・リッチビッグバンドにも在籍した、現役の数少ないビバップアルトサックス。とにもかくにも delicious なライブだった。bright, warm, straight saxophone.gentle, beautiful piano.happily bouncing bass.vivid drums.extremely warm and delicious.it was a super session.

  2005/11/08

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• 証人の必要

  誰かに証人になっておいてほしいというのは、あたしが度々思いがちなことのひとつ。何があったのか。何を感じたのか。裁いてくれなくていい。ただ、知っていてほしい。それだけの。証人さえいてくれるのなら、あたしは誰に誤解されても生きていける。

  2005/11/07

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• ２３年目。

  今日で２３歳になった。２３歳の誕生日は、部活のＯＢの結婚式だった。渋谷のホテルでサックスを吹いていた。よろよろと家に帰り付くなり、奇跡のようなタイミングで電話が鳴った。かけよって受話器をとる。忙しすぎて誕生日を忘れていたと言う癖に、たまたまかけてきたのが今日だなんて、そんな偶然さえこの人にかかれば、頼もしく思えてしまうから不思議だ。けじめを付けよう、と。責任は取るから、と。いいから来い、と。今夜はいやに真剣だったね。泣けるくらいに嬉しいその言葉。今はその言葉だけで十分な気がしている。だって、動くのはとても怖いんだもの。２３年間しっかり生きてきたよ。この１年は、何をしていたかな。信じられるものを、確かなものを、しっぽだけでもいいから掴もうとしてきた。色々なことを、体と心とで学んだよ。そうして、怖がるということも知った。踏み出すその一歩は、恐ろしい。たとえその先に、倒れ込めるベッドがあっても。ぐちゃぐちゃ考えた誕生日だったけれど、これだけは忘れちゃいけないひとことがある。ありがとう。

  2005/11/06

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• バースデイ・イブ

  明日でまたひとつ年を重ねる、そんな夜。日付けを超えるその瞬間にひとりは嫌で、ぐだぐだと相も変わらずお酒を飲んでいる。時計を見たら十分前で、次に見たときは十分後だった。よかった、と思う。誰かと一緒にいたかったけれど、カウントダウンだけはなぜか御免だった。

  2005/11/05

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• 願わくば上向き

  願わくば上向き。治まりの付かない胃を押さえて祈るのも３日め。はやくばっちりになりたいものだなあ。願わくば上向き。体調に敏感になるときには、いつも時既にすこし遅しだけれど。

  2005/11/04

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• 元気が出る声

  引き続きダウン。訳のわからない熱と吐き気と戦う。うう。夜はたまらずに電話をかける。ひとしきり、話をする。吐き気なんて忘れてにこにこしたまま。来週末は、ほんとうに会える。もしかしたら２年以上会っていない声の主に。これがまた、けっこう嬉しくてさ。「３０になってもひとりだったら貰ってあげる。」「３０になってもひとりだったら貰ってやるよ。」そんな会話はもう何年か前からのお決まり。どっちが３０になったらの話だかもわからないまま、この冗談みたいなやりとりはいつも、あたしを笑わせる。笑った。声を出すというよりも、にっこりと。笑って受話器をかちゃんと置く。もちろん、受話器を持った手の人さし指で、先に電話は静かに切っておく。昨日よりは柔らかく眠れそう。

  2005/11/03

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• 元気が出るメニュー

  ここ数日吐き気が続いていて、しばらくぶりにまじめなダウン。元気が出るものを体に入れよう。元気が出るもの、と考えると、あたしのメニューは限られる。その昔、誰かが作ってくれたもの。それを真似して作って食べること。たくさんの野菜と鶏ガラとを、ことこと煮込んでつくるスープ。鶏ガラが十分に手に入らなくて、手羽元のお肉を足してかさ増しをした。あのときのように玉ねぎを、こつこつ炒める元気はさすがに本日は無いから、大きなにんじんやセロリやたっぷりのねぎも入れる。そして、月桂樹とシナモンの皮とにんにくとしょうがと、とうがらしを一本と粒のままの黒こしょう。ティーバッグに入れて一緒に放り込む。そうして、しばらく放っておく。時たま、思い出したように灰汁をすくう。開けたてのマドンナをどぼどぼと注ぐ。調子が悪いときはぼうっとしているから、太っ腹だ。さあ飲め、とばかりに、あたしのグラスと大鍋とにたっぷりと。同じワインを共有して、どちらのお腹も幸せにあたたまっていく。この湯気の匂いと湿り気こそが滋養だから、結露はしばし気にせずに換気扇を止める。いい出汁が出たところで、食べる分だけを小鍋に移して味を調える。透き通ったチキンスープと、パンドカンパーニュと、クリームチーズとオリーブオイルとチョコシロップ。本当はバゲットが良かったし、チョコシロップはハーシーのが良かったけど、売ってなかったからそこは妥協をしたよ。あとは、白ワインと無花果とコーヒーとピースを数本。ああ、おいしい。ゆっくりと食べていると、まるで幸せを噛んでいるようだ。根っこから吸い上げたものが、いちばん遠い葉っぱに届くのがわかる。指先の血管まで隅々に、栄養が通っていくのが、手にとるように感じられる気さえする。そんなわけはないのに、リアルだから不思議だ。心までが、内臓のひとつのような感覚になることも。あたたまる。ひとりぼっちのダウンの夜でも。それでもやっぱり、本家本元の味にはかなわない。あの時のスープには、いったい何が入っていたのだろう。

  2005/11/02

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• ひとり、ということ。

  ひとり、ということを考える。ひとり、ということは、ひとりではないこと、を前提にした言葉のようで。ひとつ、といったほうがしっくりくる。わたしは、ひとつ。たぶん、ひとりになることはない。あたしを大切に思っていてくれる人は、なんと幸いなことか、何人もいてくれる。遠くても、海の向こうでも、もう生きていなくても。あたしを思ってくれている人たちに、どうか、絶えまない幸せを。決して多くはなくても、枯れることのないわき水のように。ひとつ、のあたしを、ひとり、にしてくれないその心たちに。せめてわたしに与えられているほどの、安らぎを。

  2005/11/01

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• 腕をほどいて

  いつのまにか癖になっていた。あたしは腕組みをして歩いていた。ずりおちそうに思いショルダーバッグのせいか、突然、すん、と落ちた温度のせいかにしたいよ。きっと腕組みをしているあたしは、相当に強そうに難しそうに見えるね。街のガラスに映る自分の姿を見つけて、苦笑いをしてしまうよ。まるで、自分で自分を守っているようだから。自分で自分をあたためているようだから。それでも、気がつくとまた腕組みをしている。ユリイカ！なんて今にも叫びだしそうに、気が抜けたしかめっ面で。いつからかな。少なくとも高校生の頃は、大手を振って歩いていた。これからもっと寒くなる。きつくなるだろう腕組みを、少し上から見下ろして、やれやれ、と思う。まだ２２だよ。

  2005/10/31

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• 忙しくしよう

  忙しくしよう。もっと忙しくしよう。もっともっと忙しくしよう。もっともっともっと忙しくしよう。もっともっともっともっと忙しくしよう。もっともっともっともっともっと忙しくしよう。もっともっともっともっともっともっと忙しくしよう。もっともっともっともっともっともっともっと忙しくしよう。そうしよう。そうすればきっともう迷わない。朝のコーヒーの煎れかたも、部屋の片づけも、バスタオルの畳みかたも、毎日の洗顔も、お風呂も歯磨きも、仕事も勉強も本を読むことも、音楽を聴くことも、何もかもにもっと集中しよう。そうして目の前のことごとに完全に集中していよう。そうしよう。そうすればきっと、待っていることも忘れられる。そうして眠る前に少しだけ思い出して、いい夢を見るかぐっすり眠るかしよう。それから朝はきちんと起きて、きちんきちんとひとつずつに集中しよう。そうやって、泣くことを減らしていこう。立ち止まることも減らしたいのか、それはよく分からないけれど。まずは、泣くことを減らしていこう。そうしよう。テレビを消そう。深夜みたいな静けさになろう。そうやって早めに眠ってしまえばいい。

  2005/10/30

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• 意地悪

  小さいころは、なかなか意地悪が得意だった。自分の気を済ませるためだけに、しっかりと腹いせをしたり、そのために色々考えたり。今あたしは、めっきり意地悪をしなくなった。道理に合わないこともつまらないことも、くたびれたり空しかったりすることも、決してあの頃から減ったわけじゃない。ただ、あたしは。悪意のブーメランをあたしのところで、ストップさせる癖がついてしまったんだ。意地悪とか腹いせとかそういうやつは、あとから思い出して後悔するばかり。何週間か何か月か何年か先のあたしが、今のあたしを「どうどう」となだめて制御してる。頭ではくだらないとわかっているし、きっと意地悪なんて大人気ないこと今さら出来もしないだろうけど。後先考えずそういうこと、できたらいいなあって考えるときだってあるよ。嫌な思いをさせるだとかとはちょっと違ってさ。あたしの心のこの「感じ」、知らさでおくものか、に近い。言葉でわからなさそうな相手ならばなおさら。のうのうと生きるなら、知ってからになさい、くらいの。おゝ　嫌な女。だけどなんで「嫌な女」になっちゃいけないんだろう。そう考えると、やっぱり理屈は道々めぐりになるんだ。だって、あたしの中の意地だの美意識だのプライドだのが、どこかしらで許さないんだな。それに実際、ちょっとばかり面倒くさい。意地悪や腹いせや口げんかや何やかんやは、そんだけの少なくない労力と時間を使う意味や価値や興味が、ある相手だけに限って行われることでもあるから。それでもね。割にあわないなあって、まだ幾分ぐじぐじしてるけど。ああ、今のあたしはこういうことで悲しくなるんだって、なかば発見みたいに最近わかったんだ。あたしは、軽んじられるということが、なにより応えるなんだなって。がんばれあたし。

  2005/10/29

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• イエローカードの持ち合わせ

  「ごめんね、あいにく今、　イエローカードの持ち合わせがないの。」

  2005/10/28

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• そうなんだよ

  わかったんだよ。昨日の羽は自由だった。だって、彼に意志はなかったから。意志さえなければ自由なんだ。call me.call me.call me.it is so hard to find my way, cuz it is so dark around me, or the way in front of me.in spite that the places around me where i had been walking are terribly bright now,brighter than i had ever wanted them to have been,(and i say it is too much, far beyond necessity)shown by the shamelessly strong light of my shame.and i am biting again the another bitter piece of chocolate.it denies to melt, and my mouth denies to be empty.just can't stand.

  2005/10/27

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• おちかた。

  まるい芝生のまんなかに、白い羽根のようなものが降りてきた。落ちている、のではなくてそれはまさに、ゆらゆらと降りてきて、いた。まるで落ち着く場所を見定めているかのように。落ちていく、その感覚を楽しんでいるように。重力さえ除けば、彼は全くもって自由だった。そうして、たっぷりと時間をかけてそらを堪能した彼は、おもむろに地面に出会う。少しだけ、観念したようにも見えた。もう飛べないことを知っていた。だって、草は濡れていたから。そうか。ゆっくり落ちれば、痛くないんだ。ゆっくり落ちれば痛くない。ゆっくり、落ちていけば。柔らかく抱きとめてくれる底が、このあたしにも有るのだとすれば。

  2005/10/26

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• 過去を否定する２歳児

  今日で、ここも２歳。毎日は、そして全ては命がけだと、そうやって生きているあたしにも、否定したい、消したい、過ちとしか思えない過去がある。そのあたしが、あたし自身の誕生日を迎えるまでに、痛いも痒いも全部あまさず引っ括めて、愛しい、と高い笑顔で飲み下せますように。今日を、もっともっと愛して、そして、澱みなく笑い飛ばせられますように。見つけていたはずの愛しい、かけがえのないものを、きちんと抱き締めていられますように。祈る。祈る。そして、祈り続ける。そして、進み続ける。

  2005/10/25

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• 「あの頃」

  橙色の木漏れ日がひとすじ、蚊柱を照らしだしていた。映写機のライトがまっすぐに進んで、暗い部屋のほこりを明らかにするようだった。きれいだね、と思う心が、いつかさみしさに繋がらなくなればいいな。「あの頃は良かった」なんて恐ろしい言葉、ともすれば口を突いて出てきそうな日々だけれど。「あの頃は良かった」じゃなくって、「あの頃があって良かった」って。そう心から思って生きていきたい。そのほうが、本当な気がするよ。このページも、明日で２歳。なんだか、えらくマセガキな２歳だね。

  2005/10/24

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• ボディー★ブロー

  ボディーブローのように効いてきた。女の勘が正しかった、冴えてたってこと、こんな形で見せつけられるとはね。きつくて悲しくて腹が立って混乱して、それでも「何に」なのかといわれれば、賢くなかったあたし自身へと鉾先は向かう。ほんと、人生ってままならない。この、胸に重いニュースを口実に転がり込んだ、友人の新しい部屋と新しい街。思うんだ。at least i know what love is, how it is like to love, and to be loved.だから何っていうかもしれないけれど、あたしの生きていく上での自信は、きっと、其処にしかあり得ない気がする。出会えたことに感謝しながらも、その貴重さや必要さを認めることは、やっぱりかなり怖くもある。だって、そばにいないから。本当はすごくすごく単純で簡単なのかもしれないけれど、今のあたしはなんでだろう、足踏みしてる。踏み固めすぎた地面からは、どんな芽だって出てこれやしないのに。それでもあたしはわくわくしながら、優しい声を運んでくるだろう電話の前で、約束の時間までカウントダウンしているんだ。

  2005/10/23

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• わからない夜

  夜をどうやって過ごしたのか覚えていない。そんな日が、少しずつ増えてきてる。同じような夜ばかりを繰り返していたのは、今より前だって似たようなものだった。それでも、一日一日があいまいなのは、確かにここ数カ月の話で。誕生日がくるのがことしは少し怖い。この一年のあたしにきちんと胸を張って、あたしは次の一年に進めるのかな。

  2005/10/22

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• 朝へ、冬へ。

  来年の富士ロックで、通訳をやることになりそうだ。全くもって東京はあなどれない街だ、という話はさておき。やっぱり思うよ。何が幸せかとか、誰といれば幸せだとか、そんなのは百も承知で。どうすればその状態に持っていけるのかを、そうなるには何をすればいいのかを、わかってなかったり度胸がないから、幸せ自体を知らないのと張り合えるくらい、あたしは今動きがとれないんだよ。幸せという状態は身を以て心を以て知っている。ただ、道のりがわからないんだよ。気の置けないいい男とともに、だんだんと夜は、朝に近付いてくというのに。夜が朝になるように、あたしもあの場所へ行けたらいいのに。夏が秋へ、秋が冬へと向かうように、あたしもあの場所へ行けたらいいのに。

  2005/10/21

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• 答えのない世界

  今夜も仕事のあと、ライブに行ってきた。仕事帰りの友人に声を掛けて、半年ぶりにあってくっちゃべってきた。最近、似た経過を辿って恋愛を終えていて、なんだか抱き締めたくなったので抱き締めてきた。おされなお皿に乗って出てきた、ことし初めてのさんまを食べてきた。たまたま知り合ったDJの人に、CDをもらって帰ってきた。こないだNYに行って、MADLIBにシャウトを貰ったそうで驚いてきた。その彼のマネージャという男の人に、新鮮ですらある「ちゃん」呼ばわりされてきた。そういえば昨日の夜は、知らないおじさんにチョコレートを貰ったんだった。音楽を聴いていると思う。ああ、答えのない世界に進むというのは、よくも悪くも大変だろうなって。もう３秒考えて気付いた。そもそも、答えがある世界なんて、どこにもないんじゃないのって。かけるふるいの網の目の大きさを決めるのは、他でもない、自分しか居ないんだよね。

  2005/10/20

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• ミーハー全開

  ちょっと素敵な大人で、しかも音楽の趣味が合う人から勧められると、ほいほい翌日にはCDを買っている。ちょっと素敵な映画で、なんだか真似したくなってしまうと、ほいほい翌日には煙草の銘柄が変わっている。そんな風に久々にミーハー全開にしていると、どうしてなかなか素敵なものに出会えるじゃない。いいんじゃない？いいじゃない？

  2005/10/19

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• スイートベイジル

  はじめてのライブハウスに出かける。そこで渡されたパンフレット。最後のページに目を見張る。あたしのやった仕事がそこにあった。日本人ジャズミュージシャンを紹介する、１０数ページの英語のコーナーなのだけれど。ここのところばたばたしていて、ここでそれを手にできるとは思っていなかった。びっくりして、嬉しくなった。大切にしようと思う。形になるというのは、うれしいことだね。

  2005/10/18

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• おいしい湯気

  ことこととシチューを煮込む。いい音を立てて、いい匂いをさせて、部屋中がシチューの湯気に満たされていく。なんともいえずとろりとした空気。久しぶりに味わう、ふしぎな安心感。かえるの卵の外側のぶにぶにのもの。おいしい湯気で家と肺とをしめらせば、ひとりの夜も、寒い夜も、長い夜も、雨の夜も、どこか遠くの話のよう。

  2005/10/17

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• うらやましい

  このごろ、子供に見とれる。特に、泣いている子供に見とれる。ものすごく、うらやましいからだ。あんなに汗で髪がおでこに貼り付くほど、泣いたあとは疲れて眠ってしまうほど、喉がいたくなったり体がしびれるほど、泣きたいというよりも泣けない自分を思う。そして、泣くだけ泣いてけろっと日常に、戻るでもなく戻って暮らして行けることが、不思議というかなんというか。１００楽しいか、１００悲しいか。そんなのが子供なんだろうなあと考える。あたしはかなり前から今みたいだったから、（それでも今より格段に幼かったけれど）あくまでも想像の範囲の「子供」像。２３まであと少しのあたしは、９０楽しいけれど１０悲しかったり、７０悲しいけれど２０どうでもよくて１０すっきりしていたり。カクテルのような気持ちの毎日は、続けているとどうも疲れが取れないね。常に１０悲しい。ほとんどそんなふうだから、配分そのものをふと忘れていられる時間が、今はなにより必要だったりする。

  2005/10/16

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• 照らされるもの

  映画と、カレーと、たくさん歩くこと。今日は、たくさん喋って笑った気がする。この人と出歩く日は、ほんとうに歩く。ありがと。とうとう買って帰った新しい灯をともしたら、照らされる本棚のごちゃごちゃが気になって、やたら真面目に本棚を片付けてしまった。本棚の中身が本だけではないことがまず問題なんだな。気付いたら日付けが変わっていた。片付け、というのはとても危ないもので、寄り道をしていると何日経っても終わらない。おっと危ない、そう我に返って、あとで見返したい写真や読み返したい手紙は、「とりあえず」の場所に詰め込んでおく。だからあたしは何も捨てられない。何ひとつ捨てないか、一切合切身ひとつになるか。そうでなければ怖すぎるから、そして身ひとつになる勇気がいまひとつないから、あたしはなかなか BAG LADY を抜け出せない。そもそも、一旦引き寄せたものの中から、選びとって他を捨てると言うことが苦手だ。「恋人と親、二人がいっぺんに溺れています。　あなたの手に浮き輪はひとつしかありません。　さて、どちらを助けますか？」そんな心理テストまがいがあったけれど、あたしはきっと自分までもえいっと飛び込んで、選ぶことや見捨てることから逃げる気がする。自ら溺れて全てをなかったことにしたい。そんな自己満足でしかない選択にさえ、思わず惹かれるときがあるのは真実だ。もういちど片づけの話。何かを捨てるにしても、それには他の何かの記憶もくっついていて、芋づる式に色々なことを思い出してしまって、そうしてゴミ箱はからっぽのまま。何かを選んで捨てるには、どれもが色々な事柄に繋がりすぎている。そうやって生きてきたことに、今頃になって気付いている。恐ろしいけれど、後悔は無い。後悔は無いながら、恐ろしい。この繰り返し。あたしを取り囲んでいるものたちから、もう出ないよってほどに出汁を吸い取ったら、滓までもひょいっと飲み込んで、いつか身ひとつですいすいと歩きはじめられるんだろう。新しい灯は、思ったよりもまぶしい。

  2005/10/15

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• すっぴんゴージャス

  結局毎日仕事をすることになった。仕事をするときはお化粧をする。化粧は礼儀でもあると言っていたのは母さんだっけ。一応化粧品やの姪であり孫だ。ベース重視で顔を作る。仕事を終えてお化粧を落とす。そして、元通りのすっぴんになる。すっぴんの、洗い立ての自分と、鏡の中で向かい合う一瞬。これは、けっこう勝負の時だ。いまのあたしは、数日前より格段にいい顔をしている。なんてったって強そうだ。入念に作りあげていた肌より光っている。すっぴん上等。１０年経ってもそんな女でいたいよ。すっぴんゴージャス。１０年経ったらそんな女になってたいよ。すっぴんってのはさ、本当は年々素敵になってくべきものだと、あたしは信じているんだ。

  2005/10/14

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• 嫌な女みたいな声

  大学生の頃はそれはもう、わざとにせよ困ったことにせよ、朝方まで起きていて昼近くまで眠る、カラスの声がおやすみの合図のような、そんな生活さえ板についていたけれど。とうとう週５で働くことになったこの大学院生、夜更かしと遅起きが難しい体になってきました。もちろん、そうじゃないと困るし、これはこれで健康的といえばそうだけど、ちょっと哀しいなって気も、なきにしもあらず。しかしどうしてカラスという鳥はあんなにも、嫌な女みたいな声で鳴くんでしょう。長い髪が歩く速さで風に乗って、背中でしゃんしゃん鳴ってます。

  2005/10/13

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• 強いっすね

  強いっすね。初めて行ったバーのお兄さんが言う。「アマレットと炭酸入れて作ってください」「グレンリベットシングルロックでください」「ジャングルください」「チェリーのブランデーで何か強めの作ってください」「グレンリベットシングルロックでください」「辛いウィスキーをジンジャーエールで割ってください」「あ、別のお皿でレモンもください」「マッカランダブルロックでください」「ジンバックください」ごちそうさまでした。夏ぶりに会う女ともだち。彼女は電車の時間もあるので先に帰る。このまま一緒に表に出て別れると、すごく大学の頃っぽくて懐かしすぎるので、ひとり「居残り」で飲んでいた。バーカウンターに女ひとり。とうとうできるようになってしまったあたしも、ラーメンと牛丼は未だデビューできていない現実。

  2005/10/12

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• なんだかなあ。

  昨日のお昼に故郷に着いた。父の事務所に母と寄ってイタリアンランチ。そして家に戻ってゴルフのルールを父に教わり、デイリーとかゲイリーとかいうひとの試合を見、父に伯母と祖母の営む化粧品店まで送ってもらい、そこで二人に帰ってきたよの報告をし、わいわい言いながら一通り新製品を試し、その後友人と待ち合わせをしてたらふく飲み、タクシーで夜中にふとんに潜り込み、朝はきちんと早く母に起こしてもらい、９時の新幹線に乗り込んで眠り、１４時から東京でラジオ収録の原稿を書いたわけだが。つまり、相当にハードなスケジューリングだったわけだが。ゆうべの酒は旨かった。後半一気に宵が廻ってきてぐでぐでだったけれど、もうなんもかんも面白かったなあ、え？たぶん水分的には２リットルくらいは飲んだでしょう。しかしね、やっぱり困るんだよね。女友達と実の弟とが、こんなに男っぷりがいいと、あたしはなかなか本気でよそ見ができないじゃないの。愛してる。愛してる。愛してる。それは全く持って嘘じゃないんだけど。なんだかなあ。己の中の愛情の配分とやらが、こんなに偏っていていいものかしら。どばーっと、ざばーっと、顔を見るなり蛇口が壊れるのよね。まあいいや。壊れたまんまにしといてくださいな。あ、まだ壊れてる、そのことが結構うれしいのよ。もちろんあなたも壊れてるとみたけど；）

  2005/10/11

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