ことばことばことば
急にまた、輪をかけてことばに埋もれた生活をしている。ことばがないとそわそわする。だけど安っぽいのはいらない。本を積み重ねて頁をめくり続ける。ノートを開いて書き続ける。何を読みたいのか、何を書きたいのか分からない。それでも止まらない。溢れてくるわけでもない。干涸びているわけでもない。軽くピンチ。じっくり誰かと、親しい誰かと、本音対本音で話す機会が減って、新しい環境では割り切ることも必要で、嘘の自分が増えているのが気持ち悪くて、なんて理由を探してみる。理由なんて分かってる。ことばを、かけてもらいたいだけ。情報を伝えるためのことばなら、文字でも音でもいやというほど。だけど、あたしが欲しいのはそれじゃない。誰かから、あたしのためだけの、オーダーメイドなことばが欲しいんだ。たいそうなことなんて何も必要ない。嘘でさえなければ、何だっていいんだ。たとえそれが、「ねえ」のひとことでも、きっと暗号みたいにあたしを嬉しくさせる。おねだりなんて柄でもないけれど、あたしが求めるとすれば、いくらかのことばだけ。それが本当にいっさい断たれたら、あたしの中の何かは確実に死んでしまうと思う。誰でもいい。何でもいい。一言でいい。だから おねがい。あたしに、あたしのためだけに、ことばを。