さよなら、ユキちゃん
悲しい出来事がありました。私が入院していた時に同室にいたユキちゃんが亡くなったというメールが来たのです。知らせてくれたのは、やはり同室だった人で、メールのアドレスしか分からないから、私が他に住所などを聞いていないかと...。私も、退院する前にメルアドの交換をしただけで、住所は聞いていませんでした。胸が潰れるような思いです。 出産以外の入院なんて初めてで、病気の不安と、24時間知らない人たちと過ごす緊張でいっぱいだった初日に、気さくに話しかけてきてくれて、入院生活のことを親切に教えてくれました。具合の悪いとき以外は、カーテンもずっとオープンで、年上の人にも敬語は禁止だよと言って、まるで友達とルームシェアしてるような雰囲気でした。看護師さんたちも、「この部屋は賑やかね」と話すくらいで、私は何のストレスもなく2週間を過ごすことが出来ました。退院する時も、一抹の寂しさを感じたくらい。全て、ユキちゃんの人柄のお陰だったと思います。ユキちゃんの病気は悪性リンパ腫でした。 あの病室に、一番最初からいて、みんなを見送ってきたユキちゃん。ここ数カ月は、私の受診日に病棟に上がってほんの10分くらいずつ面会するだけでした。弱気になって、話しながら涙する日もあったけれど、ベッドの上に起きて会話し、食事も食べられてると言うから、「また来月ね」と帰ってきたのに。でも私にとってはあっという間の1カ月でも、ユキちゃんにとっては長い長い30日だったのでしょうね。あと一週間で、また会えるはずでした。なのに、もう病棟に行っても、ネームプレートを見つけることはないんです。きっと別の人が同じ場所にいて、当たり前のように病院の時間が流れているのでしょうけれど、この目で確かめるまでは、受け入れられない気がします。もっとたくさん、会いに行けばよかったよ。いつかあの病室の4人で、外で会って「あのときはさぁ」っておしゃべりしたかった。私はまだなんにもユキちゃんに返せていません。町田でご主人とハンコ屋さんをしていることしか知らないけれど、いつかちゃんとお別れをしに行こうと思います。ありがとうと伝えたい。頑張ったねと。 ユキちゃんのメールのアドレスは forget-me-not 忘れるはずが、ありません。