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テーマ:作詞作曲してますか?(707)
カテゴリ:唄の解説
「智子さん」という、その女性と僕は、すぐに仲良くなりました。。 いつも、女の人と付き合い始める時は、そうですが、初めて会ったのに、随分昔から知ってるような、懐かしい感じが、彼女にもしました。。 彼女は僕より3つぐらい年上で、既に結婚していて、小さな子供(女の子)が1人いました。。 僕と親しくなったことが、彼女もきっと嬉しかったのだと思います。。 それは、自分のお世話になった人や、仲の良い友人に、僕と一緒に会いに行く事を、彼女は随分望んでいたからです。。 それらの人に、僕を紹介する時、彼女は少し自慢げで、そして幸せそうな横顔をしてました。。 僕は彼女の期待に応えましたが、でも、 僕は、とっても彼女のことが好きだったので、(怒らないでくださいね。。) 僕の得意なことで、彼女の知らない素敵な世界を、彼女に見せてあげたいと思ったのです。。
彼女は、高校を卒業して、就職し、やがて結婚して女の子を産み、家計のために夜働きに出ている、といった人でした。。 そんな彼女に、僕は、自分の唄を歌って聴かせ、東京で体験した大学時代の話を語りました。。
当時はまだ、カラオケといえば、年配のファンが中心で、一般に大流行する少し前でした。。 僕は、彼女の勤めるスタンド・バーで、生まれて初めてカラオケを歌いました。。 今でこそ、カラオケのおかげで、歌の上手い素人が珍しくなくなりましたが、 その時の、僕の歌は、周りの人間を驚かせるのに充分でした。。 僕は、飲み屋で一躍、人気者になりました。。 でも僕は、彼女には、他人が作ったものを歌う歌手の唄ではなく、自分の想いを自分の声で、心を振り絞るように歌う、シンガー・ソング・ライターの唄を聴いて、新しい何かを感じて欲しいと、望んでいました。。 僕は、彼女を、変えようとしてたのかも知れません。。
そして、彼女も、僕を、彼女の色に変えようとしました。。 彼女は、僕の作った唄には、さして興味のない素振りを見せました。。 彼女はよく、僕の前で、わざと他の男性といちゃついて、僕を妬かそうとしました。。 彼女にとっては、きっと、それが男の心を惹き付けるための方法論だったようです。。 でも、全く妬かない僕に、彼女はいつも腹を立てていました。。 僕は大学時代に、男女のそういった駆け引きについては、相当鍛えられたので、ジェラシーを表情や行動に出さないことなどは容易いことで、常に、自分のいるシーンを客観的に見て、最も恰好の良い行動を起こすことができました。。
彼女は、ますます不機嫌になって行きました。。 僕のそんな様子は、逆に、彼女を大いに妬かせました。。 彼女自身、もともと、やきもち妬きな性格だったのでしょうけど、僕に対しては輪をかけて、僕を強く束縛しようとしました。。
「一瞬でも、他の女を見ては厭。。」 と、彼女は言いました。。 「お婆さんでもかい?」 僕は、笑いながら聞きました。。 「ううん・・・、50歳以上なら、良いわ。。 いや、待って・・。。 やっぱり、60歳以上・・。。」 「おいおい・・。。」
「一緒にいない間、あなたが、どこで何をしているのか、心配で仕方ないのよ・・。。 もしかしたら、道ですれ違う女の人を、ふと見てるんじゃないかって・・。。」 「ほとんど、ビョーキだな・・。。 そんなに心配なら、ずっと一緒にいれば良いじゃない。。」 そんなことを言って、よく彼女を悲しませました。。
毎晩、店が終わると、彼女は僕の部屋へやって来ました。。 そして、2人で一緒に眠った後、朝早くに、1人で自宅へ帰って行くのでした。。
「君は、僕のところへ、ただ眠りに来てるのかい?」 と、彼女に厭味を言ったことがあります。。 「そうよ。。 悪い・・?」
女性というものは、余程、1人で眠るのが厭な性質なのだ、と当時、僕は思っていました。。
「午前2時の月」 ← クリックすると曲が再生されます。。
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