カテゴリ:子育て
あの頃、ひとりぽっちの私を支えてくれたのは、 岡山の同級生だった友だちでした。 その友だちとは赤毛のアンとダイアナのごとき ぶ厚い手紙のやりとりをかわしていました。 その彼女が、あるとき私の友だちの死を伝えてくれました。 私にとっては初めての友だちの死でした。 高校に入ったS君が、バイクの事故で死んだというのです。 彼は、私が小学5年の時に転校した先のクラスの同級生でした。 ところが中学2年に再び同じクラスになったとき、 そのイメージがあまりにも変わっているのに驚きました。 彼の頬には傷がありました。 以前にはなかった傷です。 そして、あまり柄の良くない上級生が彼に近づいていました。 そのことゆえに、彼はクラスの中では浮いていました。 恐れられていたという感じだったのかもしれません。 けれども、席替えで私のすぐ近くの席に彼がきたとき 私は彼を恐れませんでした。 表面は変わったように見えても内面は、 小学校の頃、一緒にふざけあった頃のままの彼だと 私は感ずることができたからです。 ですから、私がそのクラスから転校することが決まり、 友だちの家にて私のお別れ会が催されるときに 彼は私の友だちとして呼ばれていました。 その時のお別れ会の様子は、私の親友が カセットテープにみんなの声を入れてくれています。 彼は、もうこの世にはいませんが、 あのときの彼の声もその中に今も残っているんです。 私は彼の死を知ったとき、何度もそのテープをかけて 彼の声を聞いたのを覚えています。 彼は、いじめる側のグループに所属していたかもしれません。 彼は、悪いですか? 本当はそういう問題ではないのだと思います。 彼の心には、実は彼の頬の傷と同じように 傷があったのだと今の私は感ずることができます。 ですから、あの頃の彼は、 私にとっては怖い存在ではなくて、寂しそうな顔をした 存在だったのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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