私の読書歴 その13 丘の家のジェーン
彼女の両親は、彼女の記憶がなかった頃に離婚していました。彼女は、母の実家のもとで生活していました。ある夏休み、突然に彼女は、プリンスエドワード島に住む、父のもとに行くこととなりました。それまで会った記憶のない、父とひと夏生活することになるんです。それまで、彼女は窮屈な生活をしていました。母は優しかったけれども、祖母も伯母もいとこたちも彼女に冷たかったのです。彼女は聖書もきちんと読めない、とさげすまれながら、そこにいました。そして、父のことについても悪く言われていただけで何も知りませんでした。勉強に関しても劣等生というレッテルを貼られていました。さて、プリンスエドワード島に着いて、彼女の生活は一転します。台所に立ったことなどなかった彼女は父親のために食事を作るようになります。上流階級の暮らしの中で、彼女は台所を手伝うことは許されませんでした。彼女は負けず嫌いの性分ゆえにだんだんと料理の腕をあげます。そして、父と生活する中でいろんなことを学んで行きます。勉強する楽しさを教えたのも父親でした。それまで苦痛でしかなかった聖書の拝読が彼女のなかでは生き生きとした学びの時間に変わって行きます。彼女の中の育っていなかったものがだんだんと育つようになります。そうして、最後には彼女をとおして、父と母が仲直りしていくこととなるんです。彼女の中で、育っていったもの・・・それは、学校の中では教えてもらえないものでしょう。何故なら、知識ではないからです。教育のあり方が問われるのは、本当に大切なものは、知識ではなく、子どもたちの中に育っていくべきものがなんなのかを見極めていないということになるのでしょう。