納棺夫日記を読みました。
かなり前に買ってあったのですがやっと読み終えました。
内容的には映画の原作といってもいいのですが金子みすずや宮沢賢治の詩もでてくる。
でも一番強烈だったのは映画には出てこなかったが弟を書いたくだり。
原爆投下間もない広島や長崎を撮った米軍のカメラマンの写真展を見た時のことである。
死んだ弟を背負った少年が仮の火葬場に来て熱い灰の上に弟の亡骸を置き兵隊のように直立不動で立っていたというカメラマンのコメントが着いた写真があったそうです。
納棺夫の著者は旧満州で弟の亡骸をやはり同じように焼いたそうです。
8歳の時だという。
私が妹を同じように高く積んだ松の枝の上に妹の棺を置いて火を点けたのは10歳でした。
映画「おくりびと」も強烈でしたが原作は私の過去まで思い起こさせるものでした。
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妹に・・・
赤いランドセルに入れた新しいままの教科書
1ページも使うことのなかったノート
削り終えた鉛筆
そのすべてを妹の棺に入れた
松の木を積んだ上の置かれた棺
「父さんたちは焼き場に行けないんだ
お前が火をつけなきゃだめだぞ」
「父さん火をつけたら生き返れないよ」と私。
「ばか!死んだもんが生き返る訳ないべや」
父のことばが耳の奥に聞こえる
「早くつけれ」どこかで大人の誰かが叫んだ
棺の下の枯れ枝に震える手で火をつけた
一気にあがる炎の中の棺が悲鳴をあげた
私は妹に火をつけた
あの時の光景は私の脳裏から消えることがない