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それはまるで羊羹のようにスコップで切れる 四角く切った層を積み重ねて乾かす 草や樹が細かく砕けて層を作っている 数ヶ月するとカサカサとして軽くなる 霜が降りる頃に父はそれに火をつけた 大きく炎をあげることなくボンヤリと灯りのように赤く燃える 幾日も幾日もかけて数百年を燃やし続ける そして山に囲まれた田畑を煙で包み込む ほんの少し土が生まれていたところから 父が蒔いた手のひらにわずかこぼれるだけの赤く濡れた小豆が採れた 父は一粒も残さず地面を這うようにして拾っていた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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