誘拐 五十嵐貴久著
リストラされた社員が自殺した。一家心中。社員と妻は即死するが中学一年生の娘は意識不明。その娘と会社でリストラを言い渡した秋月孝介の娘は親友だった。娘は友人一家の心中はパパのせいだ!と父親を責めた挙句自宅マンションから飛び降りて自殺してしまう。妻とも離婚し独りになった秋月はある誘拐を企てる。相手は現総理大臣の愛孫。その誘拐の裏に隠されたものとは・・・・結構大掛かりな誘拐事件です。目新しいものも確かにあるのです。結末もなかなかのものでした。ただね~、始まりがね。どうしてもぴんとこないのです。人はこんなことで一家心中を図るものなのだろうか。進んで言い渡したわけでもないリストラ。孝介も仕事で仕方がなかった。そんな父親をせめて娘がマンションから飛び降りたりするのだろうか。会社も心中した一家の親戚も孝介を散々責めるのだけれどそれはお門違いだと普通はわかるはず・・・もう少し納得いく始まりがほしかったです。やはり始まりと終わりは大事ですよね。今の日本の経済の現状だとか「金で買えないものがない」と豪語するタカビーな総理とか、内容的には面白い部分もあったので最後までなんとか読み終えましたけどね。 ★★