ニサッタ、ニサッタ 乃南アサ著
「ニサッタ」とはアイヌ語で「明日」という意味です。 内容紹介 明日から。明日から、がんばろう。失敗を許さない現代社会でいったん失った「明日」をもう一度取り返すまでの物語普通のサラリーマンだった耕平は、会社の倒産をきっかけに、じわりじわりと落ちていく。まだ戻れる、まだ間に合うと思いながら。気がつけば、今日を生きるので精一杯。最初の会社を勢いで辞め、2番目の会社が突然倒産し、派遣先をたて続けにしくじったときでも、住む場所さえなくすことになるなんて、思ってもみなかった。ネットカフェで夜を過ごすいま、日雇いの賃金では、敷金・礼金の30万円が、どうしても貯められない。取り返しのつかないことなんてない、と教わってきたけれど。でも――。とにかく主人公の耕平君、要領も運も悪い。こらえしょうもない。自分はたいした夢を持っていないくせに、人の夢をねたみ嫉みひがむ。読んでいてかわいそうなくらい落ちていく。500ページにわたる長編のほとんどがこの耕平君の不運を延々と書いてあるんだけどうちの息子や娘と同じ年代の耕平君が不憫でならないのは親目線で見てるからだね。うまく転ぼうとするとどん底に突き落とされる。親孝行したいのに、図らずも親不幸ばかりして「消えてしまいたい」と嘆く。人に当たり散らす。それを救ったきっかけは祖母の手のぬくもりと言葉でした。いい本でした。人生大変だけどあきらめずに頑張ればいつか花開くことがあるかもしれないよ。と教えてくれる。有川浩の「フリーター家を買う」と比べるとさらに悲惨で現実的だ。私的には乃南作品久々の大ヒットです。 ★★★★★