しかたのない蜜

そんなカレンの気持ちに気づいたのだろう。

　無理に彼は微笑んだ。

「気にしないで下さい。俺、べつに傷ついたりしませんから。いえ、カレンさんが正直に言ってくれただけで嬉しいです。あ、べつにこのこと、他の奴に言いふらしたりしませんから……じゃあ」

　そう言って彼は一度背を向けてから、少し寂しそうに振り返った。

「あ、これからもいいクラスメイトでいて下さいね。じゃあ！」

　一人、彼の姿を見送るカレンに歩み寄る影があった。

　背後から明るい声が響き、同時に肩を叩かれる。

「またいい奴振っちゃったな、カレン！」

「ジ、ジノ……！」

　振り向くと、金髪の青年が立っていた。ジノである。




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく




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