アントニオ タブッキ
日本ではあまり知られていないと思うのですが、今年はタブッキを久しぶりに読みまくりました。彼はイタリアを代表する現代作家のひとりです。日本語訳では、亡くなってしまったけれど、わたしの尊敬する訳者、作家だった須賀敦子さんが何冊かを訳しています。ブログで紹介しているのは、そのひとつ「逆さゲーム」という本なんですが、原題はイタリア語で、il gioco del rovescio。逆さまゲ-ム著者:アント-ニョ・タブッキ価格:1,103円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見るイタリアのインテリに多いように、タブッキもかなりの美術愛好家らしく、これは彼がマドリッドのプラド美術館で、ヴェラスケスの有名な絵、ラス メニーナス*女廷たち*を見ていて、思いついたという話です。彼は須賀敦子さんが語っていたように、イタリア作家に多い郷土色というものが全くない。「逆さゲーム」は同名のショートストーリーとその他が入っているわけなんだけど、舞台はマドリッドとリスボン。お話はミステリーっぽいのが魅力のひとつ。ストーリーは紹介したくないけれど、ちょっとひねったところがとても彼らしい。興味がある方は是非読んでみてください。また、彼の「レクイエム」という本も日本語訳がでています。これも彼が得意な幻想的な世界だけれど、その中でいろいろなポルトガル事情や情景が良く描かれている。主人公が詩人ペッソアをはじめ、自分の親しかった、けれども今はもう亡くなってしまった人たちに会うというお話。この本は、彼が第2母国語としているポルトガル語で書かれたものが、イタリア語に訳されていたのが、非常に変わっていました。彼いわく、この話はポルトガル語でしか書けなかったというもの。レクイエム著者:アント-ニョ・タブッキ価格:998円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見るイタリアでは昨年に出た、彼のviaggi e altri viaggiつまり、「旅とその他の旅」という本は彼の旅した場所とその場所の著名作家について書いているもので、これも面白かったけれどまだ日本語訳はでていない。日本編では、京都で谷崎潤一郎のお墓を訪ねたことが書かれていました。また、少し前にこちらでは出ている、La testa perduta diDamasceno Monteiro 「ダマシェノ モンテイロの無くなった頭」という本は、彼の得意なポルトガルのポルトが舞台となっていて、これもミステリーっぽく良かったのですが、日本語版は手に入りにくいみたいです。ダマセーノ・モンテイロの失われた首著者:アントーニョ・タブッキ価格:2,310円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見るタブッキいいですよお。